「ドラフト1位がことごとくいなくなっていますけど……」横浜DeNAの山崎康晃が電撃トレードでソフトバンク移籍の濵口遥大から連絡を受けて伝えたメッセージとは?
26年ぶりの日本一に輝いた横浜DeNAは23日、日本シリーズを戦ったソフトバンクとの間で、濵口遥大投手(29)と三森大貴内野手(25)の交換トレードが成立したと発表した。2016年のドラフト1位で入団し、8シーズンで通算44勝をあげた左腕の電撃移籍に、2014年のドラフト1位右腕で、セーブ王を2度獲得した山﨑康晃(32)は「連絡を受けていました」と秘話を披露。新天地での活躍へエールを送るとともに、濵口が転向を希望していた救援陣をけん引していく誓いを新たにした。
電話口で「(僕にとって)チャンスです」
プロ野球界を驚かせた電撃トレード。内野手の三森との交換でソフトバンク入りする左腕の濱口から、横浜の山﨑は連絡を受けていた。
日本サッカー協会(JFA)が2006年に立ち上げ、日本プロ野球選手会(JPBPA)が連携して10年目を迎えているプロジェクト「夢の教室」で、東京・文京区立駒本小学校の5年生を対象に約1時間40分の授業を終えた直後。直前に両球団から発表されていたトレードに、三つ揃えのスーツ姿の山﨑は表情を変えずに言及した。
「本人からも連絡を受けていました。彼もいろいろと思うところがあったはずですけど、それでも電話では『チャンスです』と言っていました。本当に長い時間をともに過ごしてきた仲間ですし、ピッチャーグループの雰囲気も、そして日本シリーズの雰囲気も知っている彼の移籍には寂しい気持ちもありますけど、彼なら絶対に活躍してくれる、という思いもあるので、僕からもエールを送りたいと思っています」
亜細亜大からドラフト1位で山﨑が入団したのが2014年。これで翌2015年の今永昇太(31、カブス)と今年の現役ドラフトで移籍した2018年の上茶谷大河(28、ソフトバンク)、そして2016年の濵口と大卒ドラフト1位の後輩投手が次々と移籍した。
山﨑は「ドラフト1位がことごとくいなくなっていますけど……」と苦笑しながら、佐賀県出身の濵口との電話越しのやり取りを再び思い出した。
「彼も九州の出身なので、電話越しの声を聞いている感じでは、ちょっとわくわくしたような口調で話していました。他にも挨拶をする人がいると思ったのですぐに電話を切りましたけど、僕からはひと言だけ『健康で元気に頑張ろうな』と。そして『俺たちはファミリーだと思っているよ』と伝えさせてもらいました」
今シーズンの横浜はセ・リーグ3位から“史上最大の下剋上”を成就させ、26年ぶり3度目の日本一に輝いた。しかし、ブルペンに目を向ければ、救援左腕はポストシーズンで防御率0.00をマークした5年目の坂本裕哉(27)だけで、クライマックスシリーズからは先発要員の濵口を中継ぎへ配置転換していた。
シーズンオフに入ると、濵口は中継ぎへの本格的な転向を希望してメキシコで武者修行に励んだ。さらに中継ぎとして5年間で、2022シーズンの71試合を筆頭に237試合に登板した右腕・伊勢大夢(26)も、契約更改の席で来シーズンの先発転向を希望。日本一を支えた救援陣の再編成が求められそうな状況にある。