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阪神の佐藤輝明も将来的なメジャー挑戦の意向を球団に伝えた
阪神の佐藤輝明も将来的なメジャー挑戦の意向を球団に伝えた

「まだ半人前の佐藤輝明までメジャー希望?」「ポスティング制度は見直すべき」メジャー挑戦要求の選手続出で事実上海外FA制度崩壊…“上沢問題”も浮上で球界大御所がモノ申す

 契約更改交渉で将来的なメジャー挑戦の希望を球団側に伝える選手が続出している。ヤクルトの村上宗隆(24)を筆頭に、巨人の岡本和真(28)、西武の平良海馬(25)、広島の森下暢仁(27)、阪神の才木浩人(26)に加え、まだ実績も不十分な阪神の佐藤輝明(25)までその思いを口にした。ポスティングによるメジャー挑戦を認めていない球団もソフトバンクくらいとなり、9年で得ることのできる海外FA制度は崩壊している。一方で昨年オフに日ハムからポスティングでメジャー挑戦した上沢直之(30)が、1年でNPBに復帰して自由契約扱いでソフトバンクと契約し、制度の抜け穴も指摘された。球界大御所である巨人OBで西武、ヤクルトで監督を務め、ロッテでは日本初のGMを経験した広岡達朗氏(92)も「制度を見直す時期にきている」と問題提起した。

 ヤクルトの村上は2025年オフにメジャー挑戦

 今オフ“も”と表現した方がいいだろう。契約更改交渉の場を利用してポスティング制度を利用しての将来的なメジャー挑戦の思いを球団側に伝える選手が後を絶たない。今季33本塁打、86打点で2冠王に輝いたヤクルトの主砲である村上が来季を最後にポスティング挑戦することが事実上内定したことを皮切りに、巨人の不動の4番打者である岡本も、メジャーへの思いを口にし、西武の平良は、メジャー挑戦を念頭に置いて来季の先発転向を直訴したが、球団に認められず、いったんは保留する事態にまで発展した。西武では高橋光成、今井達也もメジャー挑戦を希望していると考えられている。
 また阪神は、エースの才木、そしてまだNPBでの実績としても不十分なサトテルまでメジャー挑戦の希望を球団に伝えた。広島の森下は、昨年オフにメジャー挑戦を要望。今季は2年ぶりに10勝をマークした一方で、Bクラスに終わったため今オフの挑戦は封印したが、来季以降は突っ込んだアクションを起こしそう。
 また今オフに小笠原慎之介のポスティングを認めた中日の高橋宏斗、オリックスの山下舜平大、日本ハムの伊藤大海ら2023年のWBCの優勝メンバーも海外FA取得を待たず早期のメジャー挑戦の希望を胸に秘めている。
 一方の球団も145日以上の1軍登録が9シーズン必要になる海外FA権を得る前年にポスティングを認めるようになった。選手の願いを尊重すると共にポスティングの譲渡金を得た方がプラスとなるというビジネス上の経営判断。ソフトバンク以外の全球団がポスティングによるメジャー移籍を容認している。
 オリックスは、入団7年で山本由伸のドジャースへの移籍を容認して譲渡金として5062万5000ドル(当時のレートで約72億円)もの見返りを得た。今オフには、ロッテが「25歳ルール」の適用で、契約金に制限がつき、譲渡金も最大で3億円程度になるにもかかわらず、入団5年で佐々木朗希の異例のポスティングを認めるなど、その期間も“前倒し”になる兆しも出始めている。ヤクルトの村上も来季で8年目だ。
 球界大御所はその球界の変化に警鐘を鳴らす。
「ポスティングは選手の権利ではなく、球団側の権利であり判断だ。それをどんどん容認しているのだから自分たちで自分たちのクビをしめているのと同じことだろう。譲渡金が発生するのだからすべてがビジネス。もう海外FA制度は崩壊している。才能のあるトップ選手が次から次へとメジャーへ流出して、まるで日本のプロ野球界は踏み台だ。巨人の菅野は、ポスティングではなく海外FAだが、とうてい大活躍は期待できそうもない35歳が20億円で契約できるのだから、選手が魅力を感じるのも無理はない。もうトップ選手のメジャー流出は避けられないのだろう。ただ日本のプロ野球が、メジャーリーグのマイナー組織化していいのか。まだ半人前の阪神の佐藤までメジャー挑戦を希望したと聞いてあきれている。コミッショナーが先頭に立ち、もう一度、メジャー移籍、そしてポスティング制度の中身について見直す時期に来ていると思う」

 

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