高校サッカー準決が国立をどよめかせた!なぜ流経大柏は東海大相模の超ロングスロー攻撃を封じて決勝進出を決めたのか?「セカンドボールの反応を徹底」
第103回全国高校サッカー選手権の準決勝2試合が11日に東京・国立競技場で行われ、流通経済大柏(千葉)が1-0で東海大相模(神奈川)を破り、6大会ぶり4度目の決勝進出を決めた。初出場の東海大相模の勢いに押されながらも、榎本雅大監督(46)が掲げる「最低の試合はしないように。最低限の試合をしよう」を合言葉に、相手の武器であるロングスローをシャットアウト。前半42分にPKであげた先制点を守り切った。13日の決勝(国立競技場)では、ともに2度目の優勝をかけて前橋育英(群馬)と対戦する。
アディショナルタイムの攻防
3万9733人の大観衆が見つめる聖地が、最後の最後にどよめいた。
自軍のゴールマウスから、東海大相模の守護神・松坂亮(3年)が猛然と敵陣へ駆けあがっていく。目指した場所は流経大柏のペナルティーエリア。目安の3分台をすでに回っている後半アディショナルタイム。同点への望みを託したパワープレーで、左サイドからFW戸川昌也(2年)が乾坤一擲のロングスローを投じた。
30mを楽に超える軌道を描いたボールを、直前にロングスロー対策で投入されていたDF富樫龍暉(3年)が頭で思い切りはね返す。直後に試合終了を告げる主審の笛が鳴り響き、流経大柏の6大会ぶり4度目の決勝進出が決まった。
試合後の公式会見。2020年から指揮を執る榎本監督が、初出場で旋風を巻き起こし、ベスト4まで進んだ東海大相模を称えながら苦闘を振り返った。
「非常に勢いに乗っているチームが、勢いそのままに向かってきたなかで若干、われわれが受けに回る時間帯が続きました。いつもは前半15分くらいまでに1点を取っているはずが、0-0のまま進んでいった。憧れの国立競技場での試合ということで、選手たちもやや堅くなっていたのかな、というのが試合への印象です」
東海大相模が身上とする細かいパス回しに後手を踏み、主導権をわたしかけても、最後は自軍のゴール前で踏ん張った。指揮官はさらにこう続けた。
「相手のロングスローは警戒していたので、この1週間、準備をしてきました」
山なりではなく低く、鋭い弾道のボールを逆サイドまで届けるDF佐藤碧(3年)のロングスローが今大会の名物と化していた。40mに迫る規格外の飛距離で、3回戦の東北学院(宮城)戦ではDF塩田航央(3年)のゴールをアシストしている。
準決勝でも佐藤は前半4分に左サイドから、同8分には右サイドから究極の飛び道具を見舞った。しかし、流経大柏の選手たちは慌てなかった。
MF柚木創(3年)が練習の成果を強調する。
「ロングスローに関してはものすごい距離を飛ばしてくるので、まずはしっかりとはね返して、セカンドボールへの反応をもっと速くしようと言ってきました」
キックと比べてボールの勢いが落ちるロングスローは、ヘディングでクリアしても、思うようにはね返せない。だからこそ、自陣にいる他のフィールドプレイヤーたちのセカンドボールへの反応の速さがカギを握ってくる。