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J2ジェフ千葉からベルギー1部シントトロイデンへ期限付き移籍したFW小森飛絢(写真提供:STVV)
J2ジェフ千葉からベルギー1部シントトロイデンへ期限付き移籍したFW小森飛絢(写真提供:STVV)

無名→J2得点王→シントトロイデンの“スピード出世FW”小森飛絢がJ1クラブのオファーを蹴って欧州移籍を選んだ理由とは?

 J2のジェフユナイテッド千葉からベルギー1部のシントトロイデンへ期限付き移籍したFW小森飛絢(ひいろ、24)が16日、オンラインによる入団記者会見に臨み、新天地での抱負などを語った。富山第一高から新潟医療福祉大を経て千葉入りした小森は、2年目の昨シーズンに23ゴールをあげて得点王とリーグ最優秀選手賞を獲得。このオフにはJ1クラブ勢が獲得に乗り出していたが、新天地をベルギーに求め、しかも6月末までの期限付き移籍を選んだ。その決断の裏側に迫った。

 「もっとビッグな選手になりたい」

 日本の冬よりもはるかに寒い。吹きすさぶ風も冷たい。新天地でコミュニケーションを取るうえで、英語を含めた言葉もまだおぼつかない。それでも、すでにシントトロイデンの練習に合流している小森は、武者震いを抑えきれないでいる。
 オンライン形式で行われた加入記者会見。24歳のストライカーは「めちゃくちゃワクワクしています」と声を弾ませながら、こんな第一声を届けている。
「いち早くチームに馴染んで、ゴールを決めて勝利に貢献したい。どんな形からでもゴールを決められる、といったところは誰にも負けないと思っています」
 富山・滑川市で生まれ育った小森は、地元の名門・富山第一高3年で出場したインターハイで得点王を獲得。進学した新潟医療福祉大が所属する北信越大学リーグ1部でも3年連続得点王を獲得し、2023シーズンに千葉へ加入した。
 ルーキーイヤーはJ2で日本人選手最多の13ゴールをマーク。ベストイレブンに選出されて頭角を現すと、背番号を「41」からエースナンバーである「10」に変えた昨シーズンは23ゴールを叩き出して得点王を獲得。MVPにあたるリーグ最優秀選手賞にも輝いたが、千葉はリーグ戦の最後の2試合で連敗。7位に終わってJ1昇格プレーオフ進出を逃し、重要な2戦で無得点だった小森も号泣した。
 迎えたこのオフは、利き足の右だけでなく左足、頭とどこからでもゴールを奪える24歳の日本人ストライカーをめぐる争奪戦が、J1クラブ勢によって繰り広げられた。浦和レッズが正式オファーを出したとも報じられたなかで、今月5日になって千葉が「ヨーロッパのクラブ移籍へ向けて、クラブ間で基本合意に達した」と発表。8日には新天地がシントトロイデンだと明らかにされた。
 プロ3年目を迎えるタイミングで、海外へ挑む理由を小森はこう語った。
「さまざまなオファーがあったなかで自分にもっとも合い、もっとも輝けると思ったクラブがシントトロイデンでした。自分の特徴はゴールを決めることだと思っているので、2桁ゴールを目標に、自分の長所をどんどん出していきたい」
 日本のDMMグループが2017年秋に経営権を取得し、いま現在にいたっているシントトロイデンは、日本人選手がヨーロッパでステップアップを果たしていくうえで、ショーケースを担うクラブでありたいと自らを位置づけている。
 実際、これまでにMF遠藤航(31、リバプール)をはじめDF冨安健洋(26、アーセナル)、MF鎌田大地(28、クリスタル・パレス)、GK鈴木彩艶(22、パルマ)らの日本代表勢が所属。ヨーロッパ5大リーグへはばたいていった。
 ベルギーリーグには外国人枠が実質的に存在しない。今シーズンもベテランのDF谷口彰悟(33)をはじめ、昨夏のパリ五輪代表に名を連ねたGK小久保玲央ブライアン(23)、MF藤田譲瑠チマ(22)、MF山本理仁(23)ら6人の日本人選手が所属している陣容へ、FWでは唯一の日本人選手として小森が加わる。
 小森自身も「自分の目標とする場所へ近づくための、ステップアップです」と今回の移籍を位置づけ、オファーから数日間、熟考を重ねた末に決めたと明かした。
「シントトロイデンには数多くの日本人選手が在籍していて、遠藤選手や冨安選手をはじめ、さまざまな選手がステップアップしていった印象があります。僕自身、もっと結果を残して、もっともっとビッグな選手になりたい。そのうえでビッグクラブへ移籍して、日の丸を背負ってワールドカップに出場するのがいまの目標です」

 

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