「井上尚弥がキャリア後半にやるべきはファンが望む試合」なぜモンスターの仰天プランが具体化したのか…米上陸→サウジで因縁暫定王者→フェザー級転級→階級を再度戻して中谷潤人
4つのベルトの3度目防衛に成功したスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)が25日、横浜の大橋ジムで一夜明け会見を行った。大橋秀行会長(59)が明かしたのが、代役挑戦者だったキム・イェジュン(32、韓国)を4ラウンドで沈めたモンスターの仰天のビッグプラン。4月に米ラスベガスでWBC同級1位のアラン・ピカソ(23、メキシコ)、秋にサウジアラビアでWBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン)と戦った後に年末に、ついにフェザー級に転級し、WBA世界同級王者のニック・ボール(27、英国)に挑戦、2026年には、再び階級をスーパーバンタム級の下げWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)を迎え討つという。
「フェザー級で戦える体が出来上がってきている」
「休めなかった」
傷ひとつない綺麗な顔をして一夜明け会見に現れた4団体のチャンピオンは極度の疲労で眠れなかった。4ラウンドで終わった試合の疲れではない。延期、中止、対戦相手交代とWBO&IBF同級1位のサム・グッドマン(豪州)の負傷に振り回され続けた2か月間の疲労である。
「普段なら一夜明け会見の後にトレーニングしたいなという気持ちになるが今はしたくない。それくらい2ヶ月間 張り詰めてやってきた。肉体的というか、精神的にちょっとしばらく休みたい」
それが本音だろう。
「来い!」と挑発してきた勇気ある代役挑戦者のキムをワンツーで倒した。事前対策無しのぶっつけ本番。「25年のキャリア」と「引き出し」で勝負した結果だった。
「急遽、変わった相手に強引にいくのではなく組み立てるボクシングができた」
そう自己評価をする一方で「課題点を強いて言うなら、もっとここでこう動きたい、動けたらいいなというものをやりながら感じた。自分の中でまだまだそう感じるということは伸びしろがある」とも考えているのだから、この男は恐ろしい。
試合後には「きつかった」と初めて本音を明かしたが、ゴングが鳴るまで、そういう不安や弱音をメディアだけでなく、周りのスタッフにも一切口にしなかった。
「もうやるべき日程は決まっている。弱音を吐いた時点で負けじゃないですか。プロとしてやるべきことをまずはやり遂げる。それが仕事。終わった後に“大変だったね”は全然ありだが、それまで弱音は絶対に吐かない」
これがモンスターの矜持だった。
その試合後に有明アリーナで大橋会長、真吾トレーナーの三者会談を持った。協議して確認したのは、モンスターの今後のプラン。大橋会長はその驚愕の計画を明かした。
「おそらく次はラスベガスでピカソ選手。次はアフマダリエフ選手で、もうひとつは決定じゃないが、サウジアラビアからフェザー級に上げてボール選手と戦ってくれというのがある。フェザー級に上がって(ベルトを)取って、その後は、また戦うべき相手がいるのでスーパーバンタムに落とす」
前々から3者の間で話は出ていたが最終的に確認されたのは昨日が初めてだった。