• HOME
  • 記事
  • 五輪スポーツ
  • 「とても心が傷ついている」11歳から16歳の未成年選手が10人も…米航空機事故でフィギュア関係者の犠牲者は24人…“4回転の神”マリニンや五輪メダリストらが涙の追悼
犠牲者が6人も出たボストンスケートクラブ出身の五輪メダリストのナンシー・ケリガンさんが緊急会見(写真・AP/アフロ)
犠牲者が6人も出たボストンスケートクラブ出身の五輪メダリストのナンシー・ケリガンさんが緊急会見(写真・AP/アフロ)

「とても心が傷ついている」11歳から16歳の未成年選手が10人も…米航空機事故でフィギュア関係者の犠牲者は24人…“4回転の神”マリニンや五輪メダリストらが涙の追悼

 米国ワシントン近郊のポトマック川に墜落した航空機事故でのフィギュアスケートの関係者の犠牲者が選手や保護者など24人に及ぶことが明らかになった。ロシアのメディア「スポーツエキスプレス」が全名簿を掲載したもの。11歳から16歳の未成年の若手選手が10人も含まれている。出身クラブから犠牲者を出した五輪メダリストのナンシー・ケリガンさん(55)や、長野五輪金メダリストのタラ・リピンスキーさん(42)、そして出発地での全米選手権で3連覇を果たした“4回転の神”イリア・マリニン(20、米国)ら、世界中のフィギュア関係者が悲しみのコメントを寄せて犠牲者を追悼した。

 ケリガンさんと因縁のハーディングさんも追悼

 フィギュアスケート界にとって痛ましいニュースが続く。現地時間29日午後9時ごろ(日本時間30日)に米国ワシントン近郊のロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港付近で起きたアメリカン航空機と米軍ヘリ「ブラックホーク」の空中衝突事故。墜落した旅客機には、乗客60人と乗員4人が搭乗していたが、懸命の捜索にもかかわらず、生存者は見つかっていない。
 旅客機の出発地点は、カンザス州ウィチタで、当地では20日から26日までフィギュアの全米選手権が開催されていた。終了後には、若手の育成キャンプが当地で行われていたため、若手選手と指導者、保護者が犠牲となった。1994年の世界選手権ペアの金メダリストで、アルベールビル五輪、リレハンメル五輪でも入賞し、1998年以降、米国に移住してコーチとして活動をし若手の育成に尽力していた55歳のワジム・ナウモフさん、52歳のエフゲーニャ・シシコワさん夫婦も搭乗していた。ロシアメディアの「スポーツエキスプレス」が、掲載したフィギュア関係者の搭乗者名簿によると、犠牲者は24人にも及ぶことが明らかになった。
 ボストンスケートクラブは、6人の選手、保護者が犠牲になったことをSNSで明かしたが、「スポーツエキスプレス」の報道によると、24人の中には、まだ11歳の2選手を含む11歳から16歳までの未成年のティーンエージャーの選手が10人も含まれていた。米国人選手が多く、中国系米国人選手、韓国系米国人選手、ロシアのパスポートを持つ関係者も3人いた。同メディアは「ワシントン、ボストン、北バージニア、デラウェア大学のクラブに所属している未成年の選手と、その保護者の方々が多くを占めていた」と伝えている。
 フィギュア界からは追悼のコメントが相次いだ。
 ボストンスケートクラブ出身でアルベールビル五輪の女子シングル銅、リレハンメル五輪銀メダリストのナンシー・ケリガンさんは、緊急会見を開き、涙を流した。搭乗していた16歳のスペンサー・レーン選手、13歳のジンナ・ハン選手とは、親交があったそうで、「2人ほどスケートを愛していた人を見たことをはなく、だからこそとても心が傷ついています。飛行機に搭乗していた人々の誰かについて知ることがあれば、さらに大きな痛みになるでしょう。我々のコミュニティーは、とても小さいですが、傷ついているのは、このクラブの人だけではありません。この事故を通してスケートを滑っているすべてのリンクが何らかの感情を抱いています。痛ましいことです」と言葉を絞り出した。
 またリレハンメル五輪の米国代表選考を巡り、そのケリガンさんを襲撃する前代未聞の事件を起こしたことで、のちに映画化されるほど有名となったトーニャ・ハーディングさんもXにこう投稿した。
「ワシントンDCでの昨夜に起きた出来事は悲惨なものでした。複数のプロフィギュアスケート選手が飛行機に搭乗していたとも伝えられました。私の愛情と追悼をすべての犠牲者と彼らの家族に送ります」

 

関連記事一覧