「去年の悔しさを持ってやり返す」阪神の佐藤輝明がクリケット&超重量ボールの“糸井SA教室”で90度広角打法に開眼?!目標に掲げた「30本&100打点」も夢ではない?
阪神の佐藤輝明(25)が2日、沖縄の宜野座キャンプで臨時コーチを務めた糸井嘉男スペシャルアドバイザー(43)の指導を受け、本塁打量産の条件である「90度広角打法」の可能性を見せた。ドジャースの大谷翔平(30)が不調を脱出した際に使用したことで知られるクリケット用のバットと重量ボールを使う練習方法にチャレンジ。ランチ特打では、センターからレフトの逆方向へ柵越えを連発させた。藤川球児新監督(44)の構想では「3番」の佐藤は「30本&100打点」を目標に掲げた。
大谷翔平も不振を脱出に使った秘密兵器
近大の先輩でもある“超人”糸井氏と佐藤が沖縄で合体した。
藤川監督が球団SAの糸井氏に「現役の時から一緒に自主トレに来た選手が彼の元を離れない。彼は教えを請われる選手。たったひとことが純粋に選手に伝わる」と、2日間の臨時コーチを依頼したもの。
糸井氏は、ランチ特打の前のティー打撃で2つの秘密兵器を取り出した。ひとつは、クリケット用のバット。元広島のユーティリティープレーヤーで、現在はプロクリケット選手に転身している木村昇吾氏に直接電話して譲り受けたプロが使う“本物”。打撃面が平らになっていて、重量も通常のバットよりも重たい。ドジャースの大谷が、春先に不調に陥りかけたときに使って調子を取り戻したことで知られる。ドジャースでは他のチームメイトが使うほどブームにもなった。佐藤は自主トレから、すでにクリケットを使った打撃練習を取り入れていた。
「もう使っていたんでビックリした」と言う糸井氏が、その狙いを明かす。
「面で球を捉えるのは難しい。ヘッドを返さないように打つのがミソ。イメージ作りとしてはいい」
バットが羽子板みたいに平らになっているため、ボールを面でとらえ、ヒットゾーンの幅を長い時間キープするようなスイングの軌道を心掛けなければ、うまく打球が飛ばない。コンタクトポイントへのバットに入れ方、バットの軌道確認にもってこいだ。
さらに糸井氏は、もうひとつ「超人ボール」と名付けた白と青で色づけされた重量ボールを用意してティー打撃に使った。糸井氏が、日ハム時代に小笠原道大氏が使用していたのを見て、現役時代から使用していたという。この超人ボールの狙いは、「押し込むイメージを作ること」で逆方向への打球の飛距離を出しパワー強化にもつながる。佐藤が「バットに乗せないと打てない」と言えば、糸井氏は「(甲子園の)浜風関係なしにいくんちゃいますか」とその効果を説明した。
これらのアイデア満載のティー打撃は、佐藤がオフから取り組んできた新打法にうまく合致していた。「しっかり体を使って打つ」「引っ張りばかりじゃなく、(打球方向を)90度にしっかり使う」という2点である。
この日の特打では、糸井教室の意識づけがしっかりと残っていたのか、センターからレフトへの柵越えを連発させた。風もあった。打撃投手の投球コースが「真ん中から外が中心だった」(佐藤)という事情もあったが、計16本あった柵越えのうち、11本がセンターから逆方向。122m表示のある球場のセンターを遥かに超え、バックスクリーンの真ん中に激突した特大の一発まであった。
上半身の動きに無駄な動作がなくぶれなかった。タイミングの取り方は、軽く右足を上げるのではなく、ほぼ摺り足。テイクバックが浅いにもかかわらずスイングと打撃フォームが安定しているから打ち損じは少なく、しかも打球の角度がいい。