「今のままじゃ後何年も野球はできないぞ」中日・中田翔の15キロ大減量の仕掛け人は井上監督だった…ただ「4番・一塁を彼に空けておく気はない」と“4番サバイバル”を通告
中日の新監督に就任した井上一樹氏(55)を沖縄・北谷キャンプで独占インタビュー。3年連続最下位に終わったチームの再建を託された井上監督の考えを聞いた。6日は、S班としてマイペース調整を許可された中田翔(35)がワンクール遅れでキャンプに合流し、15キロ以上減量した姿を披露して驚かせたが、その大減量を薦めたのは、井上監督だった。中田の復活と内外野を守れる新外国人ジェイソン・ボスラー(31)の成否が最下位脱出のカギを握る。
中田翔が見違える姿で沖縄に現れた。
頬がこけ、お腹がへこみ、足も細くなったのか、ユニホームのズボンもブカブカ。115キロから100キロへ約15キロ以上の減量に成功した中田は、ランチのフリー打撃で、37スイング中、レフトへ4本の柵越えを放った。
実は、ベテランを対象にS班を作り、異例ともいえる6日遅れのキャンプインを許した井上監督が、その大減量の“仕掛け人”だった。
「昨年の後半は、ほぼ2軍で過ごしていたので僕が言ったんですよ。『(体重を)絞ってみろ。絞ったら、前の光輝いていたバッティングができるかもしれない』と」
中田は、2023年オフに巨人との残り2年あった契約を自ら放棄できるオプトアウトの権利を行使して自由契約となり、中日と2年契約を結んだ。立浪和義監督は、開幕から「4番・一塁」でスタメン起用。3、4月には打率.283、2本塁打、12打点、OPS.707と、4番にふさわしい働きで、一時的に首位に立った開幕ダッシュの成功に貢献した。しかし、5月15日の阪神戦で自打球を当てた左足をかばったことで右足太腿に肉離れを起こして登録を抹消され、この時は、すぐに復帰したが、今度は腰を痛めて6月26日に再び登録抹消となり復帰まで1か月ほど時間がかかった。
さらに8月9日に再び腰の負傷で3度目の離脱となると、シーズンの最後まで1軍に戻ることができなかった。当時2軍監督だった井上監督が、中田と向き合ったのは、この夏以降の2か月強の間。結局、中田の出場は、62試合に留まり、打率.217、4本塁打、21打点の不甲斐ない成績に終わった。
「ああ見えて繊細なんですよ。復活するためにバッティングフォームを自分で研究して、“これじゃあだめだ”とぶつぶつ言っている。僕は“ああせい、こうせい”と言うつもりはさらさらなかった。中田翔自身が、あと何年、野球をやろうと思っているのかわからないが、彼の走る姿や、守備で横に動く姿を見て、『今のままじゃ、ここ何年も野球ができるとは思わんぞ。今の体じゃ、膝や腰に負担がくる。走塁や、守備で動きが悪い理由は、そういうところだろう。ならば、絞ってみろよ』と話をしたんです」
井上監督は、自らの助言に沿い、15キロの減量に成功した中田の姿に満足気だ。
「オフでこれだけやってきたことは認めてあげないといけない。やる気は見えた。後は、結果で、ほかの連中をどう負かすかを見せてもらいます」
――ここから中田がキャンプ、オープン戦を通じてコンディションと調子を維持していけば、開幕の横浜DeNA戦に「4番・一塁」で起用しますか?
そうズバリ聞くと井上監督は、迷うことなくこう返した。
「『はい、中田に4番を空けておきます』という気はない。一塁には、カリステもいるし、新外国人のボスラーもいる。キャンプイン前に僕は、若手もベテランも関係ない、全員が競争、ポジバト(ポジティブバトル)と言っているのに、『はい、中田翔が4番です』はないんですよ。ただ『去年と全然違うね』というものをキャンプ、オープン戦を通じて見せてくれたあかつきには(中田の4番・一塁を)考えなきゃいけない」