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WBC世界バンタム級王者の中谷潤人が圧巻のKO劇で23歳の無敗のメキシカンを撃破(写真・山口裕朗)
WBC世界バンタム級王者の中谷潤人が圧巻のKO劇で23歳の無敗のメキシカンを撃破(写真・山口裕朗)

「井上尚弥でさえ中谷潤人を倒せない?」ダウン経験無しの無敗メキシカンを3回に葬った“ビッグバン”を米メディアが絶賛…「強すぎて」“レジェンド”エストラーダにも対戦を断られていた

 プロボクシングのWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)が24日、有明アリーナで行われた同級6位のダビド・クエジャル(23、メキシコ)に3回TKO勝利した。23歳の無敗のメキシカンを沈めた中谷を米メディアも絶賛。米専門サイト「ボクシングニュース24/7」は「倒せるボクサーは誰もいない」と報じた。実際、対戦オファーを次から次へと断られていて、試合後にIBF世界同級王者の西田凌佑(28、六島)がリングに上がり統一戦の実現を約束したが、西田の指名試合が障害となる可能性があり、来年にスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)との対戦が実現するまで「強すぎて戦う相手がいない」というジレンマに苦しむことになりそうだ。

 

フィニッシュの左ストレート(写真・山口裕朗)

 

 絶対に倒れないメキシコのナルシストが倒れた。
 3ラウンドだ。中谷に対して、左右のフックを振り回し果敢にインファイトを仕掛けて前へ出てくるクエジャルに まず「意識して当たるパンチ」だった左右のボディで布石を打った。 
 ガードが下がったところへ、左右のフックから左のボディ、そしてそこに左ストレートをぶちこむという流れるようなコンビネーションブロー。たまらずクエジャルは膝をついた。キャリア29戦目で初のダウンだという。
 このラウンドは、中学を卒業した時から師事している、ロスの名トレーナー、ルディ・ヘルナンデス氏から「距離をとって連打」との指示を受けていた。
 まさにその指示を忠実に実行した。
「あまり覚えていない。一発当たれば、次々出す。振るよりも真っ直ぐなパンチ。手応えはあった」
 チャンスを逃さないのが中谷の凄みでもある。
 チャンピオンメーカーであるエディ・レイソノ・トレーナーに鍛えあげられたメキシカンは、立ち上がってきたが、そこに左で襲い掛かった。
 軌道はフック。そこから伸ばしたストレートは、狂いなくクエジャルの顔面を捉えた。
「左フックの軌道で相手の体の中心を狙っていく。当たるパンチ」
 これも陣営が、中谷より1センチ高い1m74の長身で、背筋を伸ばしてアップライトに構えるクエジャルの特徴を分析して弾き出した“勝利方程式”だった。
 クエジャルは、鼻の上からつつつと血を流し、両足を投げだして腰を落とした。立ちあがったが、足がよろけレフェリーは10カウントを聞かせた。
「皆さん、ビックバンを見れましたか?」
 この試合から自ら“ビッグバン”という新愛称を公表していた中谷は、その言葉にふさわしいフィニッシュで1万2000人のファンの度肝を抜いた。
 ルディ・ヘルナンデス・トレーナーからは、「インサイドから打っていく」「左ストレートを思い切り打て」という指示もあった。
「もっと簡単に当たる意識があったが当てさせてくれなかった」
 しかも1ラウンドに左フックで鼓膜が破れるアクシデントも負っていた。
 その想定外の狂いをわずか3ラウンドで修正するのだから、対応能力も防衛を重ねるごとに磨きがかかっている。

 

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