
「それは言い訳にならない!」“疑惑のダウン”デービスに犯人扱いされた美容師が“ウソ”を指摘して反論…NYコミッションは裁定を「再検証」…5月にローチとリマッチか
プロボクシングのWBA世界ライト級王者のガーポンタ“タンク”デービス(30、米国)が“疑惑のダウン”でWBA世界スーパーフェザー級王者、ラモント・ローチ(29、米国)と辛くも引き分けた世界戦の問題が新展開を迎えた。ニューヨーク州のアスレチックコミッションが“疑惑のダウン”を再検証する意向を示したことを米スポーツ専門局「ESPN」が伝えた。またデービスはそのシーンを生んだ原因を「美容師が髪の毛につけたグリース」と言い訳したが、その美容師が「グリースなどつけていない」と反論した。SNSやネットで大バッシングが吹き荒れ、ダイレクトリマッチに否定的だったデービス自身も5月に再戦をする意向を示している。
アクデントでリプレー映像検証ができず
デービスの“疑惑のダウン”問題が新展開を迎えた。ESPNがこの試合を統括していたニューヨーク州のアスレチックコミッションの広報担当者の見解を伝えたのだ。
「問題のラウンド中、コミッションがリプレー映像による検証を要求しました。しかし、コミッションがレビューに割り当てられた時間内にその結果を受け取るのを妨げる技術的な問題がありました。したがってレフェリーがリング内で判断した決定が尊重されて試合が続いたのです」
問題のシーンは9ラウンドだった。30勝28KOと驚異のKO率を誇り、“最凶”と恐れられているデービスに対して、勇気ある前進を続けて、大善戦どころかポイントではほぼ互角の展開に持ち込んでいたローチが、左ジャブを放った。パンチを浴びたデービスは、右目をしかめ、次の瞬間、自ら右膝をついたのだ。レフェリーのスティーブ・ウィルスは、最初はそれをダウンと認めてカウントを始めた。デービスはコーナーに戻り、セコンドへ何やらわめきタオルで髪の毛と顔を拭かせ、理由を訴えると、レフェリーはカウントをやめてダウンを取り消したのである。
ローチは、「なんでやめたんだ?カウントを続けてくださいよ」と猛抗議したが、レフェリーは聞き入れず、デービスの言い訳に理解を示した。デービスは、残り時間で猛攻撃し、ジャッジの2人は、このラウンドで「10―9」とデービスを支持した。結局、デービスはローチを仕留めきれず、試合は判定へもつれこみ、採点は115-113が1人、114-114が2人でドローとなった。もしダウンを認めて、このラウンドが「8-10」となっていれば、判定は逆転し、デービスはキャリア初の黒星を喫していたのである。
この試合には、インスタントリプレーが採用されており、こういう問題が起きた場合、スーパーバイザーがリングサイドで映像で、すぐさまダウンか否かを検証するのだが、その映像機器にトラブルが起きた。検証ができず、レフェリーのダウンを認めないという判断を支持することになったという。
ただ世界戦のルールに詳しい関係者によると、リプレー検証に制限時間などはなく、もしダウンを認めなかった判定に疑惑があるのであれば、「インターバルの時計を止めて、結論を導くべきだった」と指摘した。