
名古屋ウィメンズマラでペースメーカーが機能せずコースを間違える“不手際”…佐藤早也伽が日本歴代9位に好タイムで日本人トップもどうすればミスを撲滅できる?
9月に開催される東京世界陸上の代表選考会を兼ねた名古屋ウィメンズマラソンが9日、バンテリンドーム発着の42.195キロコースで行われ、佐藤早也伽(30、積水化学)が日本歴代9位に2時間20分59秒で好タイムで日本人トップの2位に入り2大会連続となる世界陸上代表に大きく前進した。だが、ペースメーカーが機能せず、23キロ過ぎにはまたコースを間違えるミスがあった。どうすればこれらのアクシデントを撲滅できるのか。
タイムロスの影響はなかったとランナーは証言するが
先頭は10㎞を33分28秒、中間点を1時間10分37秒で通過した。日本勢は5人がトップ集団でレースを進めるも、16㎞付近で初マラソンに挑んだ五島莉乃(資生堂)が脱落。25㎞過ぎに大森菜月(ダイハツ)が遅れて、27㎞付近で上杉真穂(東京メトロ)も苦しくなる。日本人トップ争いは佐藤と加世田梨花(ダイハツ)のふたりに絞られた。30㎞を1時間40分20秒で通過して、ペースメーカーが離脱。加世田は給水後に一度遅れると、2時間17分29秒のタイムを持つシェイラ・チェプキルイ(ケニア)がペースを上げた33㎞付近でトップ争いから脱落した。
佐藤も遅れたが、終盤の走りが圧巻だった。36.5㎞付近で前回2位のユニスチェビチー・チュンバ(バーレーン)に追いつくと、38.2㎞で単独2位に浮上する。最後までチェプキルイを追いかけて、40㎞までの5㎞を16分41秒でカバー。19秒差の2位でゴールに飛び込んだ。前半のハーフより後半のハーフが15秒速いネガティブスプリットで、日本歴代9位の2時間20分59秒をマークした。
「前に選手がいたので、できるだけ離されないようについていきました。すごく練習してきた自信はあったので、それを無駄にしたくないという思いがあったんです。いつもより40㎞走を多くやって、ジョグの距離も増やしました。これまでは30㎞以降、脚が重くて前に進まなかったですけど、今日は余裕がありましたね。また、これまではペース変化に焦ってしまうことがあったんですが、今日はあまり気にせず、集中して走れた。そこも成長した部分かなと思います。自己ベスト(2時間21分13秒)の更新を一番目標にしていたのでうれしいです」
クールビューティ佐藤の微笑みで、JMCシリーズⅣ(2023年4月~2025年3月)は幕を閉じた。その結果、女子は昨年の名古屋ウィメンズを自己ベストの2時間21分18秒で制して、今年の東京でも日本人トップになった安藤友香(しまむら)がチャンピオンに決定。安藤は東京世界陸上の参加標準記録(2時間23分30秒)を満たしているため、同マラソン日本代表に内定した。
また佐藤も名古屋ウィメンズで東京世界陸上の参加標準記録を突破。大阪国際女子で日本人トップになった小林香菜(大塚製薬)の2時時間21分19秒を上回り、JMCシリーズⅣで最速タイムを叩き出したことで、最大3枠ある東京世界陸上代表が濃厚になった。
ブダペスト世界陸上は20位に終わっただけに、「もし代表に選ばれたら前回達成できなかった8位入賞が目標です。先頭集団でしっかり勝負していけるように練習を積んで挑みたいなと思います」と、東京での快走を誓っていた。
今回の名古屋ウィメンズは終わってみれば、佐藤が日本人では大会歴代2位の好タイムをマーク。晴天にも恵まれて盛り上がった印象だが、課題も浮き彫りになった。