
今週F1豪州GP開幕!角田裕毅は厳しい戦いが予想される中でどう経験と実力を発揮するのか…新人レーサーが多い“追い風”も
いよいよ3月14日の豪州GPから2025年のF1が開幕する。それに先立ち合同テストが2月26日から3日間、バーレーンで行われた。
開幕前に新車を本格的に走らせることができるのは、この合同テストだけ。しかも、テストは1チーム1日1台のマシンしか走らせられないため、各チームとも2人のドライバーが代わる代わるマシンに乗って、新車の感触を確かめるとともに、シーズン開幕へ向けて、さまざまな準備を行なっていた。
今年F1参戦5年目を迎える角田裕毅(24、レーシング・ブルズ)は、2日目に作業上の不具合から走行時間が制限されたものの、3日間大きなトラブルもなく、順調にテストを終えたことに満足している。
「大きな問題は起きていない」
「2日目に天候の関係で走行が制限されましたが、特にプランが大きく変わることもなく、自分たちが予定していたプランをやることができました。天候が改善してからも走行ができなかった時間がありましたが、それはクルマのトラブルではなく、空気の流れを見るために車両に取り付けられているエアロレーキの不具合で、クルマに関する大きな問題は起きていません」
気になるテストで角田が記録したベストタイムと順位は、初日が1分31秒610で10位。2日目は1分30秒793で12位。そして3日目が1分30秒497で7位。3日間の総合順位は20人中14位だった。これは角田が自己ベストをマークした3日目よりも、2日目のほうがサーキットのコンディションが良かったからだ。
そのことは総合トップ3のタイムがいずれも2日目に記録されたものだったことでもわかる。その2日目に角田は走行時間が制限されたことで、本来の力を出せなかった可能性がある。
とはいえ、マクラーレン、フェラーリ、メルセデス、レッドブルのトップ4は今年も速く、角田が所属するレーシング・ブルズが入賞圏内の10位を目指すのは、簡単なことではない。しかも、ポイントをかけた戦いでライバルとなりそうなウイリアムズのカルロス・サインツが3日間の総合トップに立ち、3日目にはライバルとなるであろうアルピーヌのピエール・ガスリーも一時トップタイムをマークするなど好調な仕上がりを見せている。
今年のレーシング・ブルズのマシンの戦闘力を考えると、ドライバーズ選手権で角田が自己最高の12位となった昨年よりも今年は厳しいシーズンが予想される。そのことは角田も覚悟している。
「現時点での勢力図はわかりませんが、昨年の開幕戦時点の調子の良さは今年はないように感じています。アルピーヌは昨年の終盤ですでに僕たちより速かったので、今年も速いでしょう。ハースも後半戦は僕たちより速かったので、今年どうなるのかですね。いずれにしても、中団グループの競争は今年は一層激しくなることは間違いないでしょう。ただ、ポイント争いはできるクルマだとは思っています。昨年はシーズン中のクルマの開発競争でライバルに後れをとってしまったので、今年はしっかりとクルマを開発していい戦いができればいいなと思っています」
マシンの戦闘力が拮抗していると思われる今年、より重要になってくるのがドライバーの経験と能力だ。すでに87レースに出場している角田は今シーズン中に日本人歴代最多出走の片山右京氏の95レースを抜くだけでなく、第13戦ベルギーGPでは日本人として初の通算100レース出走を迎える。この経験が今年のF1で角田に味方するかもしれない。