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世界選手権金メダリストの坪井智也が村田諒太以来のA級デビュー(写真・山口裕朗)
世界選手権金メダリストの坪井智也が村田諒太以来のA級デビュー(写真・山口裕朗)

すでに伝説?!明日両国で村田諒太超えのA級デビューのアマボクシング界“モンスター”坪井智也…現役WBO世界王者と互角スパー「グレートなボクサー」と称賛の声

 アマチュアボクシングの2021年世界選手権バンタム級で日本人初の金メダルを獲得した坪井智也(28、帝拳)が13日に両国国技館で行われるトリプル世界戦のアンダーカードで史上11人目のA級(8回戦)でプロデビューする。スパーリングをしたWBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガ(26、帝拳/米国)が「グレートボクサー」と称賛する超逸材。「最短で世界を取りたい」との目標を抱く坪井はどんなデビューを果たすのか。

 2021年の世界選手権で岡澤セオンと共に日本人初の金メダル

 アマボクシング界の“モンスター”がいよいよベールを脱ぐ。
 トリプル世界戦の公式会見に出席した坪井は「過程を持って取り組んできたのですごくいいコンディションに仕上がった」と言い、「プロデビュー戦で、こんなに素晴らしい舞台を用意してもらったことをすごくうれしく思う。この気持ちを試合で最大限に出せるように精いっぱい頑張りたい」と決意を語った。
 眼光は鋭く、近づき難いオーラを放つ。とてもルーキーには思えない。
 実は、デビュー前にもう伝説を作った。セミファイナルで行われる元2階級制覇王者、京口紘人(ワタナベ)との防衛戦に備えて来日し、帝拳ジムで調整を続けているWBO世界フライ級王者のオラスクアガとスパーリングを行う機会に恵まれ、互角以上にやりあったというのだ。「世界王者にまともに触らせなかった」という声もある。
 坪井自身は、「そんなことないですよ。試合とスパーは違うものなので内容は関係ない」と謙遜したが、そのオラスクアガは、最大級の称賛の言葉を送った。
「とてもいい奴だ。すごくハッピーなオーラをまとっている。もうすっかり彼とはジムメイトになっている」とそのキャラクターを称えた上で「グレートなボクサーだ。フットワーク、インアウトのムーブメントが凄く上手だ。いいボクサーだと思う」と評価した。
 プロデビュー前の坪井にとって世界のレベルを肌で知ったのは貴重な経験だった。
「凄くいい練習になったし楽しかった。僕の方が階級が上なんで、どうやったら?と色々と考えながらやれた」
 坪井の真骨頂はスピードを生かした天才肌の出入りのボクシングである。オラスクアガが褒めたのもそこ。だが、それだけでないのが坪井が“アマチュアボクシング界のモンスター”と呼ばれる所以。足を止めて打ち合う超攻撃的なインファイトもできる万能型なのだ。
 名門日大で1年から全日本選手権を制覇した。準決勝でのちにWBO世界ミニマム級王者となった谷口将隆、決勝では京口を撃破した。日大時代はリーグ戦で20戦全勝、全日本4連覇の“無双”を誇った。2021年にはベオグラードでの世界選手権バンタム級で悲願を達成した。ウエルター級の岡澤セオン(大橋)と共に日本人初の金メダルを獲得したのだ。
 ただ五輪にだけは縁がなく絶頂期だったリオ五輪は代表から漏れ、東京五輪は、代表選考会だった2019年の全日本のフライ級決勝でプロボクシングの元4階級制覇王者、田中恒成(畑中)の実兄である田中亮明に僅差の判定で敗れた。その田中は東京五輪で銅メダルを獲得している。「最後の挑戦」と心に決めたパリ五輪は、世界最終予選を体調を崩して棄権。もうボクシングからは引退することを考えた。
 だが、同年代の堤聖也(角海老宝石)のスパーパートナーを引き受け、その堤が同じく1995年生まれの井上拓真(大橋)からWBA世界バンタム級王座を取ったことで刺激を受けた。田中、今回、WBC世界フライ級王者、寺地拳四朗(BMB)との統一戦に挑むWBA世界同級王者、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)も同年代。
「同年代が頑張って世界王者になっている。オレもまだまだ」
 それが28歳での遅いプロ入りの動機。
 すでに家族を持っていた坪井は、自衛隊という安定の生活を捨てることになったが、奥さんは「自分の好きなことを」と決断を後押ししてくれたという。

 

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