
超異例!「負けたら引退」「勝てば横浜にマンション」…5.28横浜BUNTAIでIBF世界スーパーフェザー級王座に挑む力石政法が「天国と地獄」の異例条件マッチを自らに課した理由とは?
プロボクシングのWBO世界バンタム級王者の武居由樹(28、大橋)の延期されていた同級8位のユッタポン・トンデイ(31、タイ)との防衛戦と、IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦として同級3位の力石政法(30、大橋)と同級1位のエドアルド・ヌニェス(27、メキシコ)が対戦するW世界戦5月28日に横浜BUNTAIで開催されることが17日、横浜市内のホテルで発表された。力石にとってこれが世界初挑戦となるが「人生の集大成。勝てばマンションを買い、負ければ引退」と天国と地獄の覚悟でリングに上がる。
世界戦実現が難しいスーパーフェザー級
「勝てば横浜にマンション」
「負ければ引退」
冗談ではない。
世界初挑戦となる力石が「天国と地獄」を自らに課した。
「世界戦の組める階級じゃない。やっとこのときがきた。世界王者になるため、30年生きてきた。チャンスは一度しかない。人生の集大成、勝てばいつ死んでもいいという意気込みです」
そして「負ければ引退」とさらっと大きな覚悟をも口にした。
力石がそこまで思いつめる背景には、スーパーフェザー級は世界的に選手層が厚く、海外でのマッチメイク需要のあるこの階級での世界挑戦が容易ではないという事情がある。かって畑山隆則(横浜光)や内山高志(ワタナベ)という名王者が君臨した時代もあったが、2016年に内山が陥落して以降、スーパーフェザー級の王者となったのは、2018年のWBO王者の伊藤雅雪(伴流)、2021年のIBF王者の尾川堅一(帝拳)の2人だけ。しかも2人共に短期政権に終わっている。
力石も、下積みを経てOPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックという地域タイトルを獲得して、2023年に当時のIBF世界王者への挑戦が内定しかけたものの流れ、2024年3月にイタリアのコッレフェッロでWBC世界スーパーフェザー級6位でWBC同級シルバー王者のマイケル・マグネッシとWBC世界同級挑戦者決定戦およびWBCシルバー同級タイトルマッチを行い、12回に逆転TKO勝利したものの、WBC王座への挑戦が実現しなかったという苦い経験をしている。世界挑戦のチャンスを求め、昨年7月にプロモート力がある大橋ジムへ移籍したわけだが、負けて二度も三度もチャンスが巡ってくる甘い世界ではないことは理解しているのだ。
今回は王者のアンソニー・カカーチェ(アイルランド)が、指名試合よりも、元WBA世界フェザー級王者、リー・ウッド(英国)との対戦を優先して王座を返上したため、空位となり、IBFが王座決定戦を指令してきたという運もあった。
力石自身は「運があるとは思わない。この位置までサバイバル戦を勝ち上がって自力できた」としながらも「大橋ジムという素晴らしい環境にこれたことに運がある。関係者の方々に尽力して下さったおかげで人生で一回しかない大舞台をこれ以上ないい最高の環境でやらせてもらう」と、心から大橋会長への感謝の念を伝えた。