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阪神の3年目の門別啓人が待望のプロ初勝利(写真・AP/アフロ)
阪神の3年目の門別啓人が待望のプロ初勝利(写真・AP/アフロ)

阪神の巨人3連勝で見えた藤川監督の“勝負師采配”をどう評価すべきか…「元々連投に制限は持っていない」石井に3連投指令

 阪神が6日、東京ドームでの巨人戦に1-0勝利、伝統のカードで3連勝して首位に浮上した。先発の門別啓人(20)が6回途中まで5安打4奪三振無失点の好投でプロ初勝利。藤川球児監督(44)は、石井大智(27)を3連投させる勝負采配で、わずか2安打だったが、押し出し四球で奪った1点を守り切った。東京ドームでの巨人3連勝は、優勝した2023年8月以来で、開幕最初の巨人戦の3連勝は、岡田彰布氏(67)が前回に指揮を執った2004年4月以来21年ぶりとなった。

 プロ3年目の門別がプロ初勝利

 虎の“秘密兵器”が秘密ではなくなった。
 今季2度目の先発、プロ3年目、5度目の先発で門別が念願のプロ初勝利を手にした。
「初勝利が遠くてやっと勝てて嬉しいなという気持ちでいっぱいです」
 最速は144キロ。打者ひとまわり目までは、力感のないフォームから手元で伸びるストレートで押して抜群の制球力で3回まで9人で片づけた。
 4回には二死一塁から岡本をボールゾーンに落ちるフォークで空振りの三振。途中、藤川監督から、フォーム修正のアドバイスがあったそうだが、勝利投手の権利がかかる5回も、二死一、二塁から、代打坂本との勝負を141キロの内角ストレートで押し込んでレフトフライに打ち取った。
「要所要所で自分のコントロールが生きてしっかりと抑えられた」
 球数はまだ83球だったが、6回二死一塁から岡本にセンター前ヒットを許したところで、藤川監督が交代を決断した。
 指揮官が「門別の投球テンポから工藤がすごくいいリズムにハマりました」と、振り返るように、力感がなく伸びで勝負するタイプの門別から、いきなり154キロ、155キロと続けてストレートでガンガンくる剛腕タイプの工藤に変わり、5番に抜擢されていた甲斐も面食らった。ストレートでファウルを奪い、最後はフォーク。甲斐のバットは空を切った。
 門別と記念写真に納まった藤川監督は20歳の左腕を称賛した。
「もしかしたら最後まで行けるんじゃないか、という思いもあるぐらいの投球内容。オープン戦を含めて点もほとんど取られていませんでしたから、行けるんだろうけど、今日は(途中降板で)申し訳ないと言いますかね。でも勝ちましたね。素晴らしい」
 そして「本当にこのまま昇って行くんじゃないか、と思っています。安定感があって素晴らしいです」とローテー固定を約束した。
 岡田前監督が「よくこんなピッチャーがドラフト2位で残っていたもんやな」と目をつけた逸材。優勝した2023年には、門別の未来に期待して優勝決定後の広島戦に先発させた。昨年は、フィジカルを強化しすぎたことで、フォームのバランスを崩して、結果を残せなかったが、オフから可動域を広げるトレーニングに取り組み、打者の手元でボールが伸びる脱力投法とそのコントロールに磨きがかかった。
 ファンをざわつかせたのが7回の継投策だ。
 藤川監督が3連投となる石井をマウンドに送ったのだ。石井には開幕第2戦の広島戦で2イニングの回跨ぎをさせている。
 もし失敗していれば批判もあっただろう。
 先頭のヘルナンデスにレフト線へ二塁打を許す。阿部監督はピンチバンターに増田大を送った。バントは正面。石井は素早く三塁へ送球して走者をアウトにした。リクエストがかかったが判定は変わらず。続く門脇は三振。フルカウントからスタートを切られて得点圏に走者を背負ったが、途中出場の坂本をスライダーでショートゴロに打ち取り、ピンチを脱した。

 

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