
采配ズバリ!なぜ巨人の阿部監督は64年ぶりの異色打順となった「2番・捕手、甲斐拓也」を決断したのか…決勝点叩き出す
巨人が15日、東京ドームでの横浜DeNA戦に1-0で勝利して連敗を3でストップし、勝率を5割に戻した。トレイ・キャベッジ(27)が怪我で、坂本勇人(36)が不振で登録抹消される危機的状況の中で、阿部慎之助監督(46)が巨人では64年ぶりとなる「2番・捕手」として甲斐拓也(32)を指名した。その甲斐が3回に決勝点を叩き出し、井上温大(23)、大勢(25)、ライデル・マルティネス(28)の完封リレーで逃げ切った。
3回一死一、三塁からライト前タイムリー
「2番、キャッチャー、甲斐拓也」
東京ドームをどよめかせた、その場内アナウンスは64年ぶりだった。
巨人で「2番・捕手」の先発出場は1961年9月23日の国鉄戦での藤尾茂氏以来。甲斐自身も2番を打ったのは、ソフトバンク時代の2021年5月22日のオリックス戦で一度あるだけだった。
広島に同一カード3連敗。親指を痛めたキャベッジが戦線離脱し、不振の坂本も2軍落ちするなどの危機的状況の中で、阿部監督が弾き出した連敗脱出の答えが「2番・甲斐」だった。
試合後、阿部監督が明かした理由は、こうだ。
「出塁率のいい2人を1、2番においてなんとかクリーンナップにつなげてほしいっていうね。皆さんからも指摘いただいてるんで、そうやってみました」
「2番・甲斐」の打率は投手を除くとチームでは3位となる.352で、出塁率は.3390。加えて「1番・泉口」も13日の広島戦で初めて1番に抜擢されて2安打、2四球で4度出塁し、現在の打率は.389でチームでは野手でトップ、出塁率も.450で、岡本に次いでチーム2位。阿部監督は、打率、出塁率の高い2人を1、2番に並べるというメジャー式のセイバーメトリクス理論で新打順を組んだのである。
その「2番・甲斐」がズバリはまった。
3回だ。横浜DeNAの先発、ジャクソンから先頭の若林が四球を選ぶと、井上にバントのサイン。途中、井上がサインの確認をしたことに、ベンチ内で阿部監督がぶつくさ文句を言う場面もあったが、堅実に決めて、トップへとつなげた。泉口はレフト前ヒットで一、三塁とすると甲斐がカウント0-1から150キロの外角ストレートを逆方向におっつけるタイムリーを放った。
配球を読んで、そのストレートに絞ったキャッチャーの甲斐らしい“決め打ち”だった。
さらに吉川がライト前ヒットで続き、一死満塁で4番の岡本に回したが、ショートフライに倒れて最低限の仕事を果たせず「5番・一塁」で今季初スタメンとなった大城も一塁ゴロに終わった。
試合後、阿部監督が「欲を言えばもう1点でも欲しかった場面なんですけど、みんなが必死に打ちにいっていますから。勝ったからなんでもいいです」と、投げやりのコメントをしたが、結局、この甲斐の一打で奪った“虎の子”の1点が決勝点となった。