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那須川天心が6月8日に有明コロシアムで世界前哨戦を戦う(写真・山口裕朗)
那須川天心が6月8日に有明コロシアムで世界前哨戦を戦う(写真・山口裕朗)

「今年“天中殺”。だから待つことが大事」6.8有明で“世界前哨戦”決定の那須川天心が中谷、西田、武居、堤のバンタム級世界王者の「誰と戦いたいか」をあえて明言しなかった理由を激白!

 プロボクシングの「PrimeVideoBoxing13」が6月8日に有明コロシアムで開催されることが18日、都内の東京ドームホテルで発表された。セミファイナルに登場するのがWBC世界バンタム級同級1位、WBA、WBO2位、IBF4位にランキングされている那須川天心(26、帝拳)だ。11月に予定されている世界戦の前哨戦としてWBA同級6位でサウスポーのビクトル・サンティリャン(29、ドミニカ共和国)と対戦する。メインで統一戦を戦うWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)とIBF同級王者、西田凌佑(28、六島)、最終的な標的にしているWBO同級王者の武居由樹(28、大橋)はいずれもサウスポー。だが、天心は誰と戦いたいかという具体的なターゲット名を口にしなかった。なぜなのか…。

 世界前哨戦の相手はWBA6位のスピードのあるテクニシャン

 天心のボクシング転向7戦目のテーマはズバリ「世界前哨戦」である。
 2月24日に前WBO世界バンタム級王者のジェイソン・モロニー(豪州)に判定勝利。世界ランキングもWBC1位、WBA、WBO2位、IBF4位と上昇して、いつでも世界戦OKの態勢を整えた上で、ドミニカからの“刺客”のサウスポーとの世界戦前哨戦に挑むことになった。
「前回モロニーと戦って、しっかりと実力が世界へ通用することが、自分自身もそうだし見ている人もわかった。今回は、世界前哨戦として戦うことになった。初めてのサウスポー。(今の)世界チャンピオンはサウスポーが多い。それに向けてという意味でもある。ここまでしっかりと来れたがここからが勝負。どうなるか楽しみでもある。今回の試合でのろしをあげたい」
 天心が語るように現在のバンタム級の4人の世界王者のうち、中谷、西田、武居と3人がサウスポーだ。
 今回の対戦相手のサンティリャンは、15戦14勝(5KO)1敗の戦績を持つサウスポー。1敗は2023年6月のWBAバンタム級挑戦者決定戦で石田匠(現在匠ジム会長)に1-2判定で敗れたもので彼にとって悲願の世界挑戦を実現するために負けられない1戦となる。一言で言えばスピードのあるテクニシャン。ジャブから組み立ててドミニカン独特の角度で飛んでくる右のオーバーフックが厄介。インファイトも得意で、ショートのボディやアッパーを打ち込んできて連打もある。
「全体的になんでもできる選手。近い距離、遠い距離でもできる。そこに打ち負けてはいけない。世界へ挑戦するまでは、いろんな経験をするのが大事だと思っている。今回は今までやったことのないタイプ。いろんなことを試合のなかで吸収するのが、チームの方針。サウスポーで一番(候補から)強い選手を選んだ」
 そしてこう狙いを明かす。
「前回初めてボクシングの距離に飛びこんだ。足を止めて打ちあうところを見せられた。今回その距離でやろうとは思っていないが、その距離でもできる状況にはしておきたい。全部できなきゃ最強になれない。オールマイティが大事。僕の型はアウトボクサーだが、こういう動きもできるというのを見せておけば、アウトボクシングが生きる」
 モロニー戦では打撃戦に応じた。そのラウンドはすべてポイントを元世界王者に取られたことは課題だが、何より“プロ”として大切な闘志を見せた。そして引き出しが多いほど勝利確率は高まる。
 サンティリャンは、いかついスキンヘッドでその風貌に迫力はあるものの、いかんせんパンチ力はない。天心は「スキンヘッドに一回やられていて恐怖症。しっかりトラウマをぬきたい」と、2018年の大晦日の総合格闘技イベント「RIZIN」で、5階級以上の体重差があるボクシングルールの試合を受けてTKOされた“レジェンド”フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)にドミニカのボクサーを重ねたが、その心配はないだろう。スピードと駆け引きの勝負になれば天心が上。ゴングが鳴らないとわからないのはサウスポーの天心が同じくサウスポーのテクニシャンにどう対峙するかだけ。サウスポーに関しては得手不得手があるからだ。

 

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