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角田裕毅の3戦をレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(右)は評価している(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
角田裕毅の3戦をレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(右)は評価している(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

レッドブルで3戦を終えた角田裕毅の本当の評価を考察…年間制限のある英国の本拠地での“秘密特訓”が意味するものとは?

 レッドブルに電撃移籍した角田裕毅(24)の第1次試験ともいえる3連戦が終了した。レッドブルでのデビュー戦となった第3戦日本GPの成績は決勝レースは12位だった。前任者のリアム・ローソン(23)にとってレッドブルでの最後の一戦となった第2戦中国GPでの決勝レースの成績も12位だったため、2人のパフォーマンスに違いはないように見えるかもしれない。しかし、決勝レースでの成績というのはドライバーが持つ速さだけでなく、チームやライバルが採る戦略や、20台で走るレース展開によっても左右される。したがって、純粋にドライバーのパフォーマンスを推し量りたい場合は、予選での成績を見たほうが良い。

 伝説の「RB19」でのTPCテスト

 ローソンの開幕2戦の予選成績は18位と20位といずれもQ1敗退だったのに対して、角田は日本GPでいきなりQ2へ進出して、15位を獲得した。この角田の予選結果もタイヤのウォームアップに失敗した結果で、本来であれば、トップ10に入ってQ3に進出するスピードはあった。予選直前に行われたフリー走行3回目ではチームメートのマックス・フェルスタッペンが1分28秒497で5位だったのに対して、角田は1分28秒785とコンマ3秒以内の走りを披露していた。
 それゆえ、日本GPの決勝で12位だったにもかかわらず、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「レッドブルのマシンに乗った時間の少なさを考えれば、この結果は上出来。近いうちに結果を出すのは間違いない」と語っていた。
 果たして、角田はその1週間後にホーナーの期待に応えた。日本GPの翌週に行われた第4戦バーレーンGPで角田は予選でQ3に進出し、決勝レースでは9位に入賞。フェルスタッペンのチームメートがトップ10内からスタートし、ポイントを獲得したのは昨年10月のアメリカGP(セルジオ・ペレス/予選10位、決勝レース7位)以来、6カ月ぶりだった。
 続く第5戦サウジアラビアGPではスタート直後の1周目にピエール・ガスリー(アルピーヌ)と絡んでリタイアに終わったが、レース審議委員会が「1周目のレーシングアクシデントだった」として、制裁を科さなかったように、レッドブル首脳陣も「不運な事故だった」(ホーナー代表)と角田をかばっていた。
 レッドブルでの3戦を終えた角田に対して、レッドブルのヘルムート・マルコ氏(モータースポーツアドバイザー)は次のように評価していた。
「フリー走行では、マックスからコンマ2~3秒差のところにいた。いままでのマックスのチームメートでは誰もそのレベルには達していなかったと思う。課題は予選でプレッシャーがかかったとき、結果を出すことだけだ」
 サウジアラビアGP後、レッドブルは角田とともにチームの本拠地イギリス・ミルトンキーンズでシミュレータ作業を行ない、シルバーストン・サーキットで2年落ちのマシンで行うTPCテストを実行した。

 

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