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阪神の小幡の超美技が勝敗を分けた(資料写真)
阪神の小幡の超美技が勝敗を分けた(資料写真)

阪神が77年ぶりの対巨人開幕5連勝を果たした3つの理由…「大山悠輔の“魚雷バット”」「小幡竜平の超美技」「防御率0.00及川雅貴の存在」

 阪神が26日、甲子園での巨人戦に6-2で逆転勝利して6連勝を飾った。開幕から対巨人に負けなしの5連勝で、これは1948年以来、77年ぶりの快挙となった。阪神は5回に代打渡邉諒(29)のタイムリーで追いつくと、8回に防御率0.00男の及川雅貴(24)が一死満塁の大ピンチを迎えるが、小幡竜平(24)の超美技などに救われて無失点に切り抜けた。その裏、巨人の4番手の田中瑛斗(25)を攻めて通算1000試合出場の大山悠輔(30)の勝ち越しタイムリーなどで一気に4点を奪い勝負を決めた。

 明暗を分けた8回の攻防

 「あそこがすべて」
 スポーツ各紙が伝えた阿部監督のコメントがすべてを物語っていた。
 明暗を分けたのは8回の攻防だった。2-2で迎えたその回に藤川監督は開幕から12試合無失点だった防御率0.00男の左腕及川をマウンドに送った。一死から吉川の三塁へのボテボテの内野ゴロを佐藤が一瞬握り直したことが命取りとなり、内野安打にしてしまう。こういう緊迫の展開ではミスをした方が負けるーのが鉄則である。
 続く岡本には、及川の武器のひとつであるカットボールをレフト線に運ばれる二塁打。一死二、三塁となって阪神ベンチは甲斐を申告敬遠して満塁策をとり前進守備を敷いた。カウント2-1からキャベッジへの4球目だった。147キロの外角低めへのストレートを捉えられた。鋭い打球が逆方向へ飛ぶ。甲子園を埋めた大観衆がレフト前へのタイムリーを覚悟した次の瞬間、まるで忍者のようにジャンプした小幡がそのスライス回転する物凄い打球をつかみとったのだ。
 超ビッグプレー。
 19日の広島戦で、木浪が3つの失策を犯すと、藤川監督は「この甲子園での戦い方ということを選手たちも含めて、見直させる必要があると思う。しっかりとした野球」とコメントを残して翌20日から小幡をスタメンに抜擢した。
 藤川監督が、小幡抜擢に込めた狙いは、甲子園の地の利を生かした守りの野球だった。小幡は、藤川采配に応えて見せた。小幡は、この日も含め6試合で打率.158、2打点と、打つ方はさっぱりだが、チームはその間、6連勝である。
 試合後、藤川監督は、小幡を「どんどん前向きにチャレンジしていけば今まで苦しかったような扉が開いてくる。どんな選手もそう。躓いてもまた行かなきゃいけない。トライですね。素晴らしい一日になったんじゃないか」と称讃している。
 及川は、続く代打大城もショートゴロに打ち取り、この回を無失点に切り抜けると、流れが阪神に傾く。
 ヒーローとなる大山が、「8回表にピンチもありましたけど、全員の力で何とか切り抜けたのでそういう意味では、僕の1本もその後の得点もチーム全員の流れで取った得点だと思う」と、語ったムードがベンチにもあった。
 その裏、阿部監督は“8回の男”大勢ではなく、田中瑛をマウンドに送る。
 一死から森下の叩きつけた打球が大きくバウンドした。三塁の門脇は猛ダッシュしてきたがグラブの下をスルー。カバーした泉口が一塁は間に合わなかったのにもかかわらず無理して送球してそれが悪送球となった。判断ミスだ。
 森下が二塁へ進むと、阿部監督は、佐藤を申告敬遠して、この日、通算1000試合出場を果たしていた大山との勝負を選んだ。
 目の前の申告敬遠は大山の想定内だった。
「冷静に打席に向かいました。いろんな場面を想定していたのでそういう場面もあるだろうなと思って準備していました」
 2球目のインコースへのシュート。大山が迷わず振り抜いた打球は三塁線を抜けていく勝ち越しのタイムリーとなった。

 

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