勝負所で”硬直化”する矢野采配…なぜ阪神は9回“悪夢の逆転負け“で4位に転落したか…勝率5割以下決定でCS出場大ピンチ
阪神が20日、甲子園球場で行われた横浜DeNA戦で4―5の“悪夢の逆転負け“を喫して3連敗。巨人がヤクルトに勝ったことで4位に転落した。阪神は8回に陽川尚将(31)の今季1号となる代打ホームランで同点に追いつき、さらに原口文仁(30)のタイムリーなどで勝ち越したが、9回に送り込んだ岩崎優(31)が誤算。5安打を浴び2点のリードを守りきれなかった。残り5試合で勝率5割以下が決定。4年連続となるクライマックスシリーズ(CS)進出に赤ランプが灯った。
”守護神”岩崎が9回に2点差を守れず
台風一過の甲子園に悪夢を見た。
8回に代打の陽川が横浜DeNAの勝利方程式の1人、エスコバーから今季1号となる起死回生の同点アーチ。さらに中野のヒットから大山の申告敬遠で二死一、二塁としてから勝負された原口が、意地の勝ち越しタイムリーをレフト前へ弾き返し、この日3三振だった佐藤もバットをへし折られながらもレフト前へタイムリーを落としてリードを2点に広げた。目の覚めるような鮮やかな逆転劇。完全に流れは阪神で、矢野監督は、満を持して9回のマウンドに岩崎を送ったが、これが誤算だった。
先発の青柳対策でスタメンから外れ、途中から代打で7番に入っていた先頭の宮崎にセンター前ヒットを打たれた。続く代打大田は144キロのストレートで詰まらせたが、打球はライト前へ落ちた。無死一、二塁。関根にバント、バスターと失敗させ、ライトフライに打ち取るも、一死一、三塁となり、桑原にはバットを押し込みながらも内外野の間に打球をポトリと落とされるタイムリーを許す。それでもまだ1点のリードはあった。
代打ソトは三振。二死としてから、この日、先制の20号ソロを含む3安打と当たっていた佐野にカウント2-1からスライダーを芯で捉えられた。糸を引くような同点タイムリーがライト前へ。甲子園がタメ息に包まれた。 阪神ベンチは動かない。
まだ二死一、三塁と続くピンチに4番の牧を敬遠気味に歩かせた。 打席には楠本。対阪神に打率3割超えと相性が良く左も苦にしない。
「佐野さんが同点にしてくれていたので打ったら儲けものくらい(の気持ち)で思い切っていった」
四球の後でしかも満塁。ストライクを取りにくる初球を狙っていた。 梅野はミットを外に構えていたが、岩崎が投じたスライダーは真ん中低めへ。楠本がジャストミートした打球は守備位置を下げていたライトの佐藤の前で弾んだ。
岩崎に固執した矢野采配にも疑問が残った。
ある阪神の大物OBがこう指摘した。
「岩崎の調子が落ちたのでケラーに配置転換したのではなかったのか。本来の岩崎のボールであれば、大田、桑原に詰まりながら打たれたヒットは、ファウルか凡フライになっている。この投球内容を見極めれば、代打ソトを迎えたところ、あるいは、佐野に打たれたところで湯浅に継投して良かった。もうこの段階で、岩崎の存在意義や先のことを考えた采配などいらない。矢野監督の采配は乗っているときはいいが、ここ一番の勝負になれば保守的になり硬直化してしまう」
ブルペンには湯浅を残し、そして先発陣から西純もブルペン待機させていた。
結果的に代打のソトは三振に打ち取ったが、1点差に詰め寄られた場面での交代、あるいは、佐野に同点タイムリーを打たれたところで、楠本との左対左に固執せず、湯浅へのスイッチを決断すべきではなかったか。