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9球団が1位指名を公表した“無風ドラフト”で将来性にロマンを感じる候補を元ヤクルト編成部長でノムさんの“元側近”松井優典氏に選んでもらった
9球団が1位指名を公表した“無風ドラフト”で将来性にロマンを感じる候補を元ヤクルト編成部長でノムさんの“元側近”松井優典氏に選んでもらった

9球団が1位公表“無風ドラフト”で「将来性にロマンを感じる7人」

プロ野球のドラフト会議が20日に開催される。すでに巨人、広島、オリックス、ソフトバンク、西武、日ハム、楽天、中日、ヤクルトの9球団が1位指名を公表した異例のドラフト。ヤクルトで編成部長を務め、故・野村克也氏のもとでヤクルト、阪神、楽天でコーチを歴任し“ノムさんの元右腕”として知られる松井優典氏(現・NPO法人ファイアーレッズメディカルスポーツクラブ・アドバイザー)に独自目線で将来性を含めたロマンを感じる候補をピックアップしてもらった。

 常葉大菊川高の異色サイドハンド安西叶翔が面白い

 

スカウトの腕の見せどころは「下位指名にあり」と言われている。よく知られた話だが、メジャー挑戦を表明したソフトバンクの千賀滉大は2010年の育成ドラフト4位だし、ヤクルトのショートストップに定着した八千代松陰高出身の長岡秀樹は、2019年の5位で、阪神の新ストッパーとして期待される湯浅京己は2018年にBCリーグ(当時、現・日本海オセアンリーグ)の富山から6位で指名された。
 今ドラフトにも将来大化けする可能性のある“原石”がゴロゴロしている。ヤクルトで編成部長としてドラフトの指揮をとり、阪神ではスカウトも経験している松井氏に、それらの候補を探してもらった。
 まず投手では中日が1位指名を公表した沖縄大の151キロ右腕、仲地礼亜(右/右、177/80)と、常葉大菊川高の異色サイドハンドの安西叶翔(右/右 186/86)の2人の名前が挙がった。
「沖縄大の仲地は腕が振れる。体幹に瞬発力があるから振れてくるのだろう。最速は151キロらしいが、コンスタントに140キロの後半が出るし、投球バランスもよくスライダーがよく曲がるのが特長的だ。ただ全国レベルで投げたのは昨年の大学選手権くらい。高いレベルでやっていないため未知数の部分もあるが、素材としては掘り出しものだ。隠し玉だと思っていたが、中日が1位指名を公表したのには驚いた。まだノビシロがある投手だけに中日がその潜在能力の高さを評価したのだろう」
 仲地は昨年の全日本大学選手権に出場。初戦で敗れたものの名城大を相手に最速149キロをマークして8回1失点(自責0)完投してスカウトの注目を集めた。嘉手納高出身で甲子園出場経験はない。
「安西は、186センチという長身からスリークォーターとサイドの間くらいの独特の角度でボールを投げ込んでくる変則投手。リズムも独特。球威もあるしボールが動くのも面白い。去年あたりから腕を下げたそうだが、体の出力を最大に生かすためには、それが合っていたのだろう。腕をやわらかく使えてリリースで腕が振れるので打者は対応が難しい。将来性を見込んで抑えておきたい投手だ」
 昨秋の新チームになってサイドに転向した安西は、そこから最速150キロをマーク。スライダー、スプリット、チェンジアップの変化球も効果的に使う。優勝候補と目されながら甲子園出場はならなかったが、今夏の静岡県大会の初戦の市立沼津高戦では8回を8奪三振無失点に抑えている。12球団すべてから調査票が届いており、もしかすれば上位で消える可能性もあるのかもしれない。
 楽天がドラフト1位指名を公表した立教大の最速157キロ右腕の荘司康誠(右/右、188/90)も「即戦力とは言えないが、将来が楽しみな超大型の素材」として評価した。
「肩を痛めていたらしいので、実質、今年になって出てきた投手のため未知数の部分がある。実際に春に神宮で見たときはストレートが荒れていたが、常時150キロ前後のボールを投げて指にかかったボールは素晴らしいし、鋭く落ちるフォークもある。プロで1年、2年もまれてどう成長するか」

 

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