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大阪桐蔭高の松尾捕手が横浜DeNAから1位指名を受けた
大阪桐蔭高の松尾捕手が横浜DeNAから1位指名を受けた

横浜DeNA1位の大阪桐蔭・松尾汐恩が目指す「次世代型キャッチャー」とは?…同僚の川原嗣貴投手と海老根優大外野手は“指名漏れ”

 プロ野球のドラフト会議が20日、東京都内で開かれ、甲子園通算5本塁打を誇る大阪桐蔭高の松尾汐恩捕手(18)は横浜DeNAから単独で1位指名を受けた。大舞台に強く、強肩強打に加えて好守俊足と溢れんばかりの才能の持ち主。打って走れる新感覚のキャッチャーを目指し、プロでの目標には異例の「トリプルスリーと盗塁王」を掲げた。今季、高卒1年目から開幕マスクをかぶった千葉ロッテの松川虎生(19)に続くことができるか。

 「待っている間は心臓が飛び出しそう」

 

 松尾は9球団が1位指名を事前公表するという異例のドラフトの中で、ドラマを起こすかもしれない一人として注目されていた。非公表だった横浜DeNAと阪神が1位競合の可能性があるとの報道もあった。学校側も過去の例にならって1位指名用の本館地下1階「リバティーホール」を会場として用意。平井了教頭は「この場所を使うのは藤原、根尾以来4年ぶりになります。中田や藤浪ら過去の1位も全部、この会場で会見を行いました」と準備していた。
「実は待っている間は心臓が飛び出しそうだった」
 松尾は、ドキドキ、ワクワクしながら、日ハムから順番に読み上げられる1位指名を待った。注目の阪神は高松商高の浅野翔吾を指名、ソフトバンクを挟み、横浜DeNAの第1回選択希望選手として松尾の名前が読み上げられた。会見場の後方で待機していたチームメートから歓声が上がると、それまで堅かった松尾の表情が一気に緩んだ。
 「選ばれるかどうかという思いで待っていたので、選んでいただいてホッとしました。ただ、1巡目でこうして選んでもらえるとは思っていなかったので、光栄です」
 その後は代表社による恒例の質疑応答に入った。
 今季2位に食い込んだ横浜DeNAの印象については「投打のバランスがいいチーム。そういった中で即戦力として使ってもらえるように準備していきたい」と意気込んだ。
 対戦したい投手、あるいは受けてみたい投手には「いいピッチャーばかりなので、いろんな選手と対戦できるようになりたい」とし「今永選手のようなピッチャーとバッテリーを組んでみたい」と続けた。
 また、チーム内で目標とする選手にはルーキーイヤーからレギュラー確保、2年目の今季は全試合で4番に座った同じ右打者の牧秀悟の名前を挙げ「打撃についていろいろ聞いてみたい」と弟子入りを志願した。
 喜びをだれに一番伝えたいかという質問には、ひな壇の横にいた父・太志さん、母・美和さんをちらりと見て「できるだけ早く結果を出して、いい報告がしたい。そのためにもしっかり準備してプロに行きたい」と話すと、美和さんの瞳が潤んだ。
 横浜DeNAは、今季捕手は固定できず、嶺井博希、伊藤光、戸柱恭孝が主にマスクをかぶったが、嶺井は31歳、伊藤は33歳、戸柱も32歳で、5年目の山本祐大へ三浦大輔監督は期待を寄せているが、上のレベルでは、まだ物足りず次世代の捕手の育成がチームのポイントだった。
「身体能力が高い強肩強打の捕手。打撃ではシャープなスイングで鋭い打球を飛ばす。 守備面では1.8秒台の二塁送球とインサイドワークに定評がある。 経験を積んでいけば将来有望な選手」との高い評価を与えて松尾の単独1位指名に踏み切った。

 松尾の魅力は、その強肩強打。世界大会にも出た京田辺ボーイズでは遊撃手兼投手だったが、高校1年の秋に、その強肩を買われて捕手にコンバートされた。身長は公称178センチ、78キロと捕手にしては細身なのもそのためだが、内野手出身だけあってフットワークは軽快でバント処理の俊敏さやスローイングの速さは一級品。さらに経験を積んだことで送球の正確性も身につけている。観察眼も鋭く、リード面も見る見るうちに向上。コミュニケーション能力にもたけており、捕手として必要な要素を備えている。
 高校通算本塁打は38本で、その中身が濃い。今夏の甲子園大会では準々決勝で敗れたものの、昨秋の明治神宮大会、今春の選抜、今秋の国体とチームの中軸として「3冠」に貢献。甲子園では2年夏に一発を放つと今年の選抜では準決勝、決勝で2試合連続アーチを記録した。今夏も2発をたたき込み、史上10人目となる甲子園5本塁打を達成。9月に米国で開かれたU18ワールドカップでも「3番・捕手」として日の丸を背負い、銅メダルを獲得し、世界のベストナインにも選ばれた。
 さらに最後の公式戦となった栃木国体決勝の聖光学院(福島)戦で高校38号を放ち、ハッピーエンド。主要4大会連続で本塁打を記録した希有な打者となった。だからこそ、掲げる目標も高い。

 

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