W杯代表落選の大迫勇也の“今”とプライドを神戸同僚“元W杯戦士”酒井高徳らが語る
カタールW杯に臨む日本代表入りが有力視されながら代表メンバーから漏れたFW大迫勇也(32)の現状に、ヴィッセル神戸のDF酒井高徳(31)や吉田孝行監督(45)が初めて言及した。横浜F・マリノスとのJ1リーグ最終節を翌日に控えた4日のオンライン対応で、酒井は「サコ(大迫)には何も言っていないし、言う必要もない」と明言。シーズン佳境で復活を遂げ、神戸をJ1残留へ導いた同学年の盟友へ「リスペクトしかない」と熱いエールを送った。
「本当にリスペクトできる存在」
自身の名前が読み上げられなかった衝撃的な瞬間から3日。ブラジル、ロシア両大会に続くW杯代表入りを逃した大迫の「今」を盟友の酒井が語ってくれた。
「僕としては特にサコには何も言っていないし、言う必要もないし、普段と同じように変わらずに接しているし、本人もそのように過ごしています」
ホームのノエビアスタジアム神戸に首位のマリノスを迎える、5日の明治安田生命J1リーグ最終節へ向けたオンライン対応。目の前で優勝を決められたくないと必勝を誓った酒井は、大迫への接し方を問われると普段通りだと明言。さらに熱い口調で言葉を紡いだ。
「ワールドカップのメンバーに入る、入らないにかかわらず、今回のメンバー発表までサコがどのようなシチュエーションでシーズンを過ごしてきたのかを僕は間近で、チームの一員として見てきた。そのなかで本当にリスペクトできる存在だと、あらためて感じたものがある」
サプライズが起きた1日のカタールW杯代表メンバー発表会見。大迫の選出に備えて神戸はノエビアスタジアム神戸内で記者会見を設定。クラブのYouTube公式チャンネルでライブ配信する準備も整えて、森保一監督(54)が名前を読み上げる瞬間を待った。
指揮官は年齢の高い順にフィールドプレーヤーの名前を読み上げていく。DF長友佑都(36、FC東京)を皮切りにDF吉田麻也(34、シャルケ04)、DF酒井宏樹(32、浦和レッズ)ときて、選出されていれば大迫、さらにMF原口元気(31、ウニオン・ベルリン)となる場面で、2人の名前はなくDF谷口彰悟(31、川崎フロンターレ)が続いた。
最年少のMF久保建英(21、レアル・ソシエダ)まで、ゴールキーパーを含めて26人の陣容を明かした森保監督は「いまでも難しい選択だったと思う」と心境を吐露。さらにこう続けた。
「このメンバーのなかに入ってもおかしくない、力のある選手はまだまだいる。そう思うと複雑な心境になるが、すべての選手たちの思いを背負って、カタールワールドカップを全力で戦いたい」
まさかといっていい大迫の落選を受けて、神戸が設定していた会見は中止になった。神戸はコロナ禍で非公開練習を実施しているため、3大会連続のW杯出場の夢を絶たれた大迫が、どのような状態で練習に臨んでいるのかはうかがいしれない。
マリノス戦とは関係がないとわかっているが、それでも試合前日のオンライン対応では吉田監督にも大迫に関する質問が飛んだ。指揮官は「彼を呼んで、少しだけ話をしました」と落選後に個人的なやり取りをかわしたと明かした上で、その後の様子をこう語っている。
「もちろんショックだったと思いますけど、彼はそういった姿をまったく見せない。悔しさをバネに変えられる選手だと思っているし、翌日からは普通に練習をしています」