全日本大学駅伝から見えた箱根駅伝の行方…独走V駒大に死角はあるのか?
全日本大学駅伝(6日・熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前)は10月の出雲駅伝で大会新Vを飾った駒大が異次元のスピードで駆け抜けた。
1500m、3000m、5000mで高校記録を保持するスーパールーキー佐藤圭汰が区間新の走りで2位に浮上。3区の主将・山野力(4年)でトップに立つと、唯一不安視されていた4区山川拓馬(1年)が区間賞の快走でリードを拡大した。7区のエース田澤廉(4年)は10㎞を27分台で突っ込み、区間記録を43秒も塗り替える。最後はアンカー花尾恭輔(3年)が区間賞で締めくくった。
「勝因は2区でしょうね。圭汰がいいところまで持っていき、山野でトップに立てた。山川は度胸がいいので使ってみたかったんですけど、うまく成功して、本当にホッとしています」(大八木弘明監督)
駒大は2020年に打ち立てた大会記録を4分21秒も更新する5時間6分47秒という驚異的なタイムを刻み、3連覇を達成。後続を1㎞以上も引き離す独走劇を見せた。出雲に続き、全日本でも〝爆勝〟したかたちになった駒大だが、箱根駅伝はどうなるのか。
出雲6区で復活の区間賞を獲得した鈴木芽吹(3年)は3週間ほど前に右ふくらはぎを痛めた影響で今回は欠場した。「ジョグはできているので、すぐにポイント練習が再開できれば箱根にうまく持っていけるかな」と大八木監督は計算している。
前回1区2位の唐澤拓海(3年)は調整が遅れているが、5区には前回4位と好走した金子伊吹(3年)が残っている。箱根に向けては、全日本メンバー8人に鈴木と金子を加えて10人。他にも前回10区6位の青柿響(3年)、去年の全日本V戦士である東山静也(4年)と赤星雄斗(3年)、成長著しい吉本真啓(2年)らが戦力となる。
そのなかでエース田澤は3年連続の2区が濃厚だ。相澤晃(旭化成)が持つ日本人最高記録(1時間5分57秒)、イェゴン・ヴィンセント(東京国際大4)が持つ区間記録(1時間5分49秒)の更新を視野に入れている。1区で大きく出遅れない限り、2区でトップに立つことができるだろう。
なお大八木監督に箱根駅伝のライバルについて尋ねると、「やっぱり青学大でしょう。選手層が一番厚い。(3冠)阻止に来ると思いますので、それを超えなくちゃいけない」と前回の箱根王者をかなり警戒している。
現時点で青学大より劣っている部分はという質問には、「中間層のスタミナ的なものがどうかな」と話していた。夏合宿からスタミナ強化を図ってきており、今後のハーフマラソンなどでチェックするようだ。