現地で聞く…浅野と板倉が負った故障の本当の回復度合い
W杯開催国のカタールで合宿中の日本代表の練習に14日、膝の負傷で長期離脱を強いられていたDF板倉滉(25、ボルシアMG)とFW浅野拓磨(28、ボーフム)を含めたヨーロッパ組7人が合流した。直前のブンデスリーガ1部で戦列復帰を果たした板倉は、所属クラブと共同でリハビリを担った日本サッカー協会のトレーナーに感謝した。戦列に復帰できないままドーハ入りした浅野は「人事を尽くして天命を待つ、でした」とここまでの経緯をことわざにたとえた。
板倉はボルシアの助言で保存療法を選択
ボルシアMGでの練習中に、左膝内側側副じん帯を部分断裂する大怪我を負ったのが2ヵ月あまり前の9月12日。ボールを奪いにいった際に相手がバランスを崩し、自身の体の上に倒れてきた直後に抱いた心境を、ドーハでの初練習を終えた板倉が明かした。
「怪我をした瞬間は『これでW杯が厳しくなったんじゃないか』という思いがありました。膝の怪我そのものが初めての経験だったので」
しかし、わずか30分後には状況が一変した。
最新の設備を含めたメディカル体制が完備しているボルシアMG側が、スピーディーな精密検査を実施。怪我から30分後のMRI検査で、手術ではなく保存療法で復帰を目指す方針が固められた。もし手術が選択されていたら、W杯出場はその瞬間に絶望になっていたはずだ。
「その後の検査で『ぎりぎり間に合うかもしれない』という話を受けて、その瞬間から僕の目標もW杯へ向けていい状態で仕上げていくことに変わりました」
板倉は直後に自身のインスタグラム(@kouitakura)を更新。左膝に装具をつけ、松葉杖姿で笑顔を浮かべる写真とともに「やるよ俺は!」と決意を投稿している。
「あのときはリハビリがどのように進んでいくのかがわかっていなくて。ただ、気持ち的には前を向いていたんですけど、リハビリを続けていくなかで、もう一段階よくなってほしいところがなかなか進まないとか、そういう状況になるとちょっと不安になったりして。その意味で焦りもありましたけど、メディカルチームと相談しながら、いいリハビリ生活を送れました」
リハビリには日本サッカー協会(JFA)も大きく関わっている。
ドイツのデュッセルドルフに開設されたヨーロッパオフィスに、JFAから派遣されたトレーナーがほぼ常駐。所属クラブの了承を得た上で、選手たちが通う体制が整えられた。板倉が続ける。
「常にトレーナーの方がデュッセルドルフのJFAのオフィスにいてくれたので、チームでリハビリを終えたら、午後はデュッセルドルフに行ってリハビリをする。すごく助かりました」
迎えた11日(日本時間12日未明)のボルシア・ドルトムント戦。W杯を含めた年内の実戦復帰は難しいと、ボルシアMG側から当初発表されていた見通しを大幅に前倒しして板倉はピッチに立った。残り2分からの途中出場を、板倉は努めてポジティブにとらえている。
「出させてもらったことに関しては非常に感謝していますけど、個人としてはもっともっと状態を上げていけると思っています。そして、ドイツ戦で完全にフィットしている状況を作ると考えたときには、あの段階での出場はすごくいいステップになりました。ここからカナダ戦もあるし、練習も含めて、完全にフィットした状態でドイツ戦を迎えられると思っています」