明日メジャーMVP発表!大谷翔平は本当に不利なのか…”大本命”ジャッジとのMVP争いの行方をもう一度考察してみた
エンゼルスの大谷翔平(28)とヤンキースのアーロン・ジャッジ(30)が争うア・リーグのMVP(最優秀選手)がいよいよ日本時間の明日18日発表される。大谷が2年連続の栄誉を手にするのか、前評判通りにジャッジが受賞するのか、全米のファンがその行方に注目にしている。
長くCBSスポーツの記者を務め、「野球の90%はメンタル」というボブ・テュークスベリー(カージナルスなど)との共著があるスコット・ミラー記者に、「過去、これほど高いレベルでの争いがあっただろうか?」と聞くと、彼は1941年と1947年のア・リーグMVPレースを挙げた。
1941年は、テッド・ウィリアムズ(レッドソックス)が打率.406で首位打者となり、本塁打(37)、得点(135)、OPS(1.287)、WAR(10.4)などでもリーグトップだった。しかし、MVPを受賞したのはジョー・ディマジオ(ヤンキース)。彼はこの年、いまも破られていない56試合連続安打をマークしたが、タイトルは打点(125)だけ。個人成績では、ウィリアムズに劣った。
ただ、投票した24人の記者の内、15人がディマジオに1位票を投じている。ウィリアムズは8人。ウィリアムズは記者と仲が悪く、それが影響したという説もあるが、あの年はレッドソックスが84勝70敗でリーグ2位だったのに対し、ヤンキースは101勝53敗で優勝。ワールドシリーズでもブルックリン・ドジャースを4勝1敗で下しており、「MVP投票では当時、チーム成績が重視されたようだ」とミラー記者は説明した。
6年後の1947年、ウィリアムズは三冠王を獲得。そのポジションの平均的な代替選手と比較してどれだけ勝利数を上積みしたかを示すWARはディマジオが4.7だったのに対し、ウィリアムズはリーグトップの9.5。もちろん当時、そうした数字は存在していないが、個人成績で圧倒したウィリアムズが、またもディマジオに敗れた。わずか1ポイント差だったものの、この年もヤンキースは97勝57敗でリーグ優勝。そのままワールドシリーズも制した。レッドソックスは83勝71敗でリーグ3位だった。
ただ、近年になって、野球は一人でできることに限界があるので、MVP投票ではWARなどの指標も含め、個人成績をもう少し重視すべきでは、という流れになっている。 昨年はブライス・ハーパー(フィリーズ)と大谷というポストシーズンに出ていないチームの2人がMVPに選ばれたが、ファイナリストの6人すべてがプレーオフを逃したチームからの選出だった。
ミラー記者は言う。
「いまもチーム成績を重視する記者は少なくなく、それも決して間違いとはいえないが、変化は感じる」
となると今回、地区優勝したヤンキースのジャッジが、その点で有利とまでは言い切れないが、打撃成績(表1参照)だけなら、今年のジャッジにかなう選手はいない。