4団体統一戦に挑む井上尚弥が“三笘の1ミリ“に刺激…「(サッカー日本代表に)続いて自分も日本中を盛り上げる」
プロボクシングのバンタム級世界3団体統一王者(WBAスーパー、WBC、IBF)の井上尚弥(29、大橋)が7日、6日後に控えたWBO世界同級王者、ポール・バトラー(34、英国)との4団体統一戦(13日・有明アリーナ)に向けての公開練習を行い、「計画通りに進んでいる」と絶好調をアピール。視察したバトラー陣営も、その進化に警戒を強めた。井上はW杯カタール大会でドイツ、スペインの大国を倒したサッカー日本代表の戦いに刺激を受けたことを明かし「続いて自分も日本中を盛り上げたい」と宣言した。
視察したバトラー陣営は「前体が大きくなりうまくなっている」と警戒
日本のボクシング界の歴史に黄金の1ページを刻む4団体統一戦が近づいてきた。この日、約1時間の練習を公開した井上は、減量のためストーブまで入れジム内の気温を上げた中で、シャドー、ミット打ち、ロープをこなした。
すでに11月28日に、計110ラウンドに及ぶスパーリングは打ち上げたが、6日には、アンダーカードのノンタイトル戦でジェイク・ボルネア(27、フィリピン)と対戦する弟の拓真(26)とマスボクシングのはずが、かなり熱の入った8ラウンドのスパーリングをこなしたという。
「すべてが計画通りに進んでいます。今回はかなり最後まで動いて仕上げています」
バンタム級に上げてからは最も多いスパーリング量。
父の真吾トレーナーは、「もうバッチリです。10ラウンドをやった時もパートナーを2人入れて5ラウンドずつやりましたが、落ちることなく最後まで良かったです。交代した2人目の選手の方が失速するぐらい。スタミナは何の問題も心配もないですね」と調整に太鼓判を押した。
この日の公開練習は、前日に来日したバトラーの陣営も視察した。
ジョー・ギャラガー・トレーナーは、「グッドシェイプになっている。2019年5月のWBSS準決勝(グラスゴー)で会った時よりは体がより大きくなっているという印象。バトラーもスピードはある、井上選手もかなりのスピードがある。良い試合になると思う」と警戒心を強め、さらにこう指摘した。
「前回に見た時よりもうまくなっている。誰もが少なからずミスや欠点はあるが、さらにうまくなっている。率直に見るとパワーよりもスピードの方が警戒すべきポイントだと思う」
スピードとパワーが両立しているのが井上のモンスターたる所以だが、バトラー陣営は、そのスピードに注目した。34勝(15KO)2敗の戦績を誇るバトラーは、スピードと出入りを武器とするテクニシャン。その攻防では絶対に負けたくないという考えか。
井上は、「もう”どう戦うのか”は何となく想定できているので。試合当日のリングで向かい合って、あとは駆け引き、自分の直感で戦っていこうと思っています」と言い、「前回のドネア戦は、KO決着(2ラウンド)という強さだけが際だった試合になりましたけれど、今回のバトラー戦は高い技術を持った選手なので、技術戦など、最近見せられていないテクニックの高い試合を見せられるのではないかなと思います」と続けた。
真吾トレーナーも、想定される展開を聞かれ「それはバトラー次第だと思います。バトラーが出てくれば早いラウンドの展開になるかもしれない。足を使っていくボクシングをしてくるなら長引くこともあると思います。そこは尚弥がどこまで上げて追い詰めることができるのか。いろいろなパターンを想定しましたが、どちらにいってもいいように調整してきました」と万全の準備が整っていることを強調した。
4団体統一戦を前に刺激を受けたことがある。
W杯のグループステージで不利が予想されたドイツ、スペインのW杯優勝経験国を破り1位でベスト16進出を決めたサッカーの日本代表の活躍だ。
「全試合をフルで見られたわけではないですが、報道であったり、ハイライトだったりを目にして、すごくスポーツというものがファンに与える力はすごいなと思いました。自分自身、刺激を受けた試合になりました」