• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 今日開催のプロ野球「現役ドラフト」への期待と不安…「球団の任意選出」「1軍確約なし」など問題点を指摘する意見も
今日注目のプロ野球「現役ドラフト」が開催される
今日注目のプロ野球「現役ドラフト」が開催される

今日開催のプロ野球「現役ドラフト」への期待と不安…「球団の任意選出」「1軍確約なし」など問題点を指摘する意見も

 プロ野球の「現役ドラフト」が今日9日午後1時から開催される。メジャーのルール5ドラフトを参考に出場機会のない選手の移籍を活性化させるのが目的。いわゆる“飼い殺し“を防ぐのが狙いだ。保留名簿が確定した2日の段階で各球団は2人以上を選出してリストを提出。すでに各球団で検討、調査が行われており、今回は1人以上(最大2人)を指名しなければならないため、少なくとも12人の選手が動くことになる。プロ野球選手会が熱望しNPBとの話し合いを続け、ついに実現した初の試みは果たして成功するのだろうか。

 各球団が最低一人は獲得しなければならないルール

 

 期待と不安が渦巻く中で注目の現役ドラフトが開催される。
 まずルールと手順を整理してみる。各球団が任意で2人をリストアップして、各球団が、その中から獲得希望選手を指名する。リストアップする選手の条件は、以下にあてはまる選手”以外”となる。
「外国人選手、複数年契約中の選手、年俸5000万円以上の選手(ただし1人は5000万円以上1億円未満の選手もOK、FA資格取得選手、過去にFA権を行使した選手、 育成選手、 シーズン終了後に移籍した選手、シーズン終了後に育成から支配下登録に変更された選手」
 すでに各球団は上の対象外選手を除き、任意で選んだ2人のリストを提出。今日のドラフトの手順としては、各球団が獲得希望選手を選んで通知。NPBは、それを全球団に公開して他球団からの最も多く希望を受けた選手のいる球団が暫定の指名順位1位となり、リストされた選手の中から現役ドラフトの1人目を指名する。その指名を受けた球団が、次の指名権を得て、さらにその2番目の指名を受けた球団が、3番目の指名権を得るといった手順で、順繰りに進められ、各球団は最低1人を獲得しなければならない。
 当日に移籍が確定した選手は発表されるが、移籍が決まらない選手が出てくる可能性もあり各球団の2人のリストは未公表となる。
 元千葉ロッテで独特目線の評論が人気の里崎智也氏は「蓋をあけてみなければわからないが、活性化に大きな期待はできない」と懐疑的だ。
「一番の問題点は、各球団が任意で選手を選ぶという部分です。メジャーのルール5ドラフトは、対象外選手を除き誰でも獲得できますが、日本の場合は、そうではなく、移籍希望選手を優先するというルールもないため、各球団は余剰戦力に近い選手しか出してこないでしょう。例えばFAの人的補償のようにプロテクトする選手を事前に決め、その選手以外で、ある条件を満たし、移籍を希望した選手が、自動的にドラフトにリストアップされるという形であれば活性化すると思いますが、今回のやり方では制限がつきます」
 確かに球団が選出する部分がミソで、能力は高いが、バリバリのレギュラーがいてポジションがかぶる、あるいは、首脳陣と合わず、固定観念を植え付けられ、せっかくの実力を発揮できていない、あるいは、世代交代の波で窓際に追い詰められているベテランなど、環境が変われば、チャンスが増えそうな選手を必ずしもリストアップしてくる保証はなく、むしろ、その可能性は高くはない。
 メジャーのルール5ドラフトは、メジャー部門とマイナー部門の2つに分類されているが、メジャー部門では「18歳以下で入団し、プロ在籍5シーズン未満の選手 、19歳以上で入団し、プロ在籍4シーズン未満の選手、メジャーの40人ロースター枠に登録されている選手」以外は全員がリストアップされて獲得可能だ。
 さらに里崎氏は「メジャーのルール5ドラフトとの決定的な違いは1軍枠に入れることを規定しているか、いないかという点」と指摘する。

 

関連記事一覧