“大晦日男”井岡一翔を日本人初の2階級2団体統一王者へ導く「絶対に負けられない理由」とは…迎え撃つ”ネクスト・モンスター”との指名試合とエストラーダとの頂上決戦
プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33、志成)が大晦日(大田区総合体育館)のWBA世界同級王者、ジョシュア・フランコ(27、米国)との2団体統一戦に向けての公式会見を23日、都内で行い、約27分間にわたって試合にかける思いを語った。ミニマム級時代の2012年に八重樫東(現在大橋ジムトレーナー)に判定勝利してWBA、WBC王座を統一している井岡が2階級2団体統一を果たせば日本人初。井岡が絶対に負けられない理由とは?
「チャンピオンとして築きあげたレベルの違いを見せたい」
ニットの帽子をかぶり防寒体勢を整えて井岡が会見に臨んだ。
「ずっと望んでいた試合が1年越しに決まって幸せに感じる。チャンピオン同士の戦いの中で築いてきたものでチャンピオンとしてのレベルの違いを見せたい」
昨年の大晦日に予定していた当時のIBF世界同級王者、ジェルウィン・アンハカス(フィリピン)との統一戦が新型コロナの政府の水際対策で流れ、その後、アンハカスが王座から陥落するなど、事態が動いたが、ターゲットのベルトをWBAに変えて1年越しに実現した統一戦。
井岡は、元々「世界戦は王者だからこそ確約されている最高峰の舞台。モチベーションを保つとか下がるとか(相手によって)左右されてないでおこう」というスタンスだが、「モチベーションはかなりいい方向にもっていける」という言葉が出てくるのも当然だろう。
フランコは22戦18勝(8KO)1敗2分け1無効試合の戦績を誇るボクサーファイターだ。KO率が示す通り、一撃必殺のパンチはないが、好戦的にジャブからプレスをかけて前に出てくる。特に右ストレートを打ってくるタイミングが独特で、井岡は、そのファイトスタイルから「勇敢なメキシカンファイター」と表現する。
高度な技術戦が予想されるが、井岡の頭の中にはプランは出来上がっている。
「相手のパンチをもらわないこと。積極的に攻めてくる選手なので、相手のリズムで、たとえクリーンヒットでなくても、パンチをもらう展開になるとどんどん勢いづいてくる。序盤は、距離、ポジショニングで、自分のペースにもっていけるように、相手の攻撃に引きずり込まれないように、攻撃を止めていかないといけないと考えている」
井岡がイスマエル・サラス・トレーナーと練り上げた対策は的を射ている。
こういう戦いは円熟度が増している井岡の得意分野である。フランコは、弟のジェシー・ロドリゲス(22)が元WBC世界スーパーフライ級王者というボクシング一族ではあるが、世界戦はアンドリュー・モロニー(30、豪州)との3連戦だけで、経験とスキルは、井岡が上回っている。
「自信はある。100%と言いたいが、世界戦のリングは、思う通りになるような場所ではない。準備をしてきたことを自信を持っていやっていく」
油断はないが自信はある。
万全の準備を整えた。
10月28日から、この19日に帰国するまで、家族から離れ、約2か月間の長期にわたってサラスト・レーナーのもと米国ラスベガスで合宿を張った。これまで新型コロナの影響で行けなかったが、3年ぶりに解禁した。メニューはすべてサラス・トレーナーが作成。「いい意味で余裕がなかった」と振り返るほどの朝のトレーニング、夕方のジムワークの濃密なメニューを黙々とこなし、スパーリングは、“仮想フランコ”の現地ボクサーを相手に最長10ラウンドを含む計100ラウンドを消化した。
「心技体すべてレベルアップできたんじゃないか。成長した姿をお見せできると思う」
食事面をサポートしてくれている妻が同行しなかったため、栄養士を帯同。「カロリーなどを計算しスムーズに落ちる体作りをサポートしてくれた」。減量もリミットまで残り4キロ。順調に進んでいる。