“守護神”権田修一が明かすW杯秘話…なぜ日本はドイツとスペインに勝てたのか…森保監督の“厳しさ”とピッチ上での密なコミュニケーション
FIFAワールドカップ・カタール大会で日本代表の守護神を務めた権田修一(33、清水エスパルス)が25日、東京・文京区の日本サッカーミュージアムで行われた日本サッカー協会主催のトークイベントに登場、日本中を熱狂させた激戦の秘話を披露した。ドイツ、スペインを撃破した原動力は、森保一監督(54)の持つ厳しさであり、ピッチ上で交わされたキーマン達の密なコミュニケーションだったという。
川島永嗣からもらった心に響く言葉
ドイツ戦で受賞したマン・オブ・ザ・マッチの証、赤いトロフィーが自身の左側にそびえ立つ。元日本代表で日本サッカー協会理事の宮本恒靖氏(45)、同FWの佐藤寿人氏(40)と共にトークショーに登場した権田のトークがさえわたった。
代表メンバーに名を連ねながら出番なしに終わった、2014年のブラジル大会以来となるW杯。8年越しのW杯デビューとなるドイツとのグループステージ初戦を翌日に控えた11月22日に、キーパー陣の間でかわされた何気ない会話が最高の力になったと権田は明かした。
「俺は何も心配していない。ゴンちゃん、思い切ってやってきな」
4大会連続で代表に選出されたチーム最年長、川島永嗣(39、ストラスブール)からかけられた言葉を紹介した権田は、身長197cm体重88kgのサイズを武器とするシュミット・ダニエル(30、シントトロイデン)から感謝の思いとともにエールをもらった。
「ここに連れてきてくれたのはゴンちゃんだから、自信持ってやってきて」
キーパー陣の顔ぶれには、メンバー発表時から賛否両論があった。
川島の選出に懐疑的な視線が向けられただけではない。アジア最終予選を含めた森保ジャパンの戦いで主軸を担ってきた権田ではなく、本番はシュミットを使うべきだという声も少なくなかった。しかし、切磋琢磨が求められる状況こそが権田が望んでいたものだった。
川島が全3試合に出場し、西川周作(36、浦和レッズ)としのぎを削ったブラジル大会。FC東京に所属していた、当時25歳の自身を権田は後悔しながら振り返った。
「今回の僕とダン(シュミット)はライバルで、どちらが出るんだと言われていました。でも、2014年の僕は、永嗣さんにとってそういう存在(ライバル)になれなかった。永嗣さんと周作さんはライバルだけど、僕は若手枠みたいな感じで。今回はダンがそういう役割に……役割というか全員が試合に出るために、お互いが真剣に練習した結果だと思っています」
権田によれば、3人のなかで練習量が最も多いのが川島だという。言われてみれば、一日に数人が割り当てられる練習後の取材対応で、川島が姿を現すのは決まって最後だった。先発枠がひとつしかない点で、ゴールキーパーは特別なポジションとなる。原則として3人が招集される代表チームで、理想的な関係を築けたと権田は嬉しそうに語った。
「最年長の永嗣さんがあれだけ練習をやっていたら、僕たちが練習をやらない選択肢はなくなりますよね。いままでいろんなキーパーとやってきましたけど、今回はお互いに気を使って、というのもなかった。仲はいいんだけど、馴れ合いじゃなくていいんだなと。全員が試合に出る準備をして、上手くなりたいと思える関係がいいと今大会で学びました」