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井岡一翔の左にいるメガネの人物が“伝説のカットマン”ジェイコブ“スティッチ”デュラン氏だ(写真・山口裕朗)
井岡一翔の左にいるメガネの人物が“伝説のカットマン”ジェイコブ“スティッチ”デュラン氏だ(写真・山口裕朗)

井岡一翔と伝説の“血止め魔術師”が3年ぶりにコンビ…強力助っ人が加わり大晦日の2団体統一戦に死角なし

プロボクシングの2団体統一戦(31日・大田区総合体育館)に挑むWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33、志成)のセコンドに伝説のカットマンであるジェイコブ“スティッチ”デュラン氏(71、米国)が加わることになった。3年ぶりのチーム合流でWBC世界ヘビー級王者のタイソン・フューリー(英国)ら歴戦の世界王者をサポートしてきたスティッチ氏は、“血止めの魔術師”で知られる。対戦するWBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(27、米国)は頭から突っ込んでくるケースもあるメキシカンスタイル。バッティングによる万が一の流血にも万全の体制を整えた。日本人初となる2階級2団体統一王者の偉業達成へ死角はない。

映画ロッキーシリーズにも実名出演の“名カットマン”スティッチ氏

 頼もしい助っ人が井岡陣営に加わることになった。伝説のカットマンとして知られるスティッチ氏だ。新型コロナの規制が緩和されたことで、来日がスムーズになったこともあるが、メキシカンスタイルのフランコとの試合では、バッティングによる流血の危険性もあるため、万が一のアクシデントに備えてスティッチ氏の招聘が決まった。
 カットマンとは、選手に故障防止の丁寧なバンテージを巻き、試合中には、セコンドにつき、ラウンド間のワセリンの塗付、目の腫れの冷却などを行うが、最大の仕事はカットした場合の止血作業。独自にブレンドした薬品を使って血を止めて傷が広がらないなどの処置をするのだ。それも1分間のインターバルの間にすべての処置を終えねばならない。
 まさに職人技が必要とされ、その中でもスティッチ氏は、世界最高峰の技術を持つ。現在、ウクライナのキーウ市長として奮闘中のクリチコ兄弟、ライトヘビー級で3団体を統一したアンドレ・ウォード、タイソン・フィーリーがデオンテイ・ワイルダーを再戦で倒したビッグマッチなど数々のチャンピオンのカットマンを務めた。当然、ひっぱりだこでボクシング界だけに限らず総合格闘技「UFC」のアンデウソン・シウバ、ミルコ・クロコップ、リョート・マチダなどのチャンピオンクラスのファイターをサポート。全米を代表する伝説のカットマンとして、ボクシング映画のロッキーシリーズ『ロッキー・ザ・ファイナル』、『クリード/チャンプを継ぐ男』など3作品に実名で出演している。

 井岡とは、2018年9月に米国で行われたマックウィリアムズ・アローヨ(プエルトリコ)戦からコンビを組み、2019年の大晦日のジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)との指名試合で来日して以来、3年ぶりの“コンビ復活”となる。井岡が、対戦するWBA世界同級王者のフランコは、メキシカンスタイルのボクサーファイターで、積極的に前に出てプレッシャーをかけてくる。特に右を打つ際に頭からぶつかってくることがある。バッティングは要注意で、計3度拳を交えた前王者アンドリュー・モロニ―(豪州)との再戦では、両者は何度も頭をぶつけ、フランコの方が逆に目が塞がるほど大きく右目を腫らして試合続行不可能となり無効試合になった。モロニーサイドは、バッティングではなくパンチによって腫れたものだと主張したが、認められず、モロニーと契約しているトップランク社がWBAに提訴、結局、第3戦にもつれこむことになった。
 井岡は抜群の距離感を誇り、過去にカットした経験はない。イスマエル・サラス・トレーナーも、「私はそれほどバッティングの危険は心配していないが、その対策も練っている」と言うのだが、万が一のケースに備えておかねばならない。

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