なぜRIZINはベラトールに5戦全敗したのか…日米を知る堀口恭司は「技術の遅れ」を指摘
総合格闘技の「RIZIN.40」が大晦日にさいたまスーパーアリーナで行われ、注目の米格闘技団体ベラトールのトップクラスを招いて行われたRIZINとの5対5全面対抗戦はRIZI代表が5戦全敗した。すべて判定負けでRIZINフェザー級王者のクレベル・コイケ(33)、同ライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(35)の“最強ボンサイ柔術コンビ”も撃沈した。なぜRIZINは全敗したのか。選手や関係者の声を元に検証してみた。
「完敗です。まだまだメジャーリーグは上。現状ポジションはここ」
まさかなのか。それとも予想された結果なのか。5戦全敗。RIZINがベラトールとの“ガチ”の5対5対抗戦で厳しい現実を突きつけられた。
「今日は完敗です。でも我々は挑戦し続けます」
フィナーレのリング上でRIZINの榊原信行CEOがベラトールのスコット・コーカー代表にそう話しかけ“負け”を認めた。
日付が新年に跨ぎ、午前1時前にインタビュールームに現れた榊原CEOは、RIZINファンに謝罪した。
「この場を借りてお詫びしたい。5連勝すると言っておきながら、ひっくり返されて5連敗。完敗です。めちゃくちゃ悔しいが、現状のポジションはここ。ただ距離の離れた完敗ではない。クロスな攻防はできた。日本を代表として誇りを持って戦ってくれた」
前日の公開計量で榊原CEOは「5連勝」を宣言していたが、あまりにも痛いしっぺ返しをくらった。
一方のベラトールのコーカー代表は、「どれも接戦だった。5連勝は予想していなかったし、次やればどうなるかわからない。この5、6年でRIZINが成長していることを証明している」と総括した。
通常のRIZINでは外国人選手は、試合の3日前来日のスケジュールが組まれるが、ベラトール軍団は、クリスマス休暇を返上して、1週間以上前に来日。時差調整やルールの違いなどの対策を万全に仕上げた。「舐めたらいかん」とコーカー代表は釘をさしたという。
確かに1本負け、KO負けはなく、あと1歩に迫った試合もあったが、大きな“壁”を感じざるをえない5連敗だった。
先鋒の元DEEPライト級王者、武田光司は、第1ラウンドに元UFC戦士でベラトールに参戦し3連勝中のガジ・ラバダノフ(ロシア)の強烈な右ストレートを浴び腰から落ちた。執念の粘りを見せたが、0-3判定負けとなりリング上で号泣した。ラバダノフのセコンドにはUFCでスーパースターのコナー・マクレガー(アイルランド)を破った元王者のハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)がついていた。
次鋒は、韓国のキム・スーチュル。元ONEバンタム級王者で現ROAD FCフェザー級王者は、元ベラトールバンタム級王者のファン・アーチュレッタ(米国)を相手にいきなりフロントチョークで攻め、第2ラウンドにはカーフキックでバランスを崩させるなどしたが、何度もタックルでテイクダウンを取られ打撃で苦しめられた。RIZIN側としては、白星を計算した布陣でコーカー代表が「強かった」と名前を出したほどだったが、1-2の判定で敗れた。アゴに大きな絆創膏を貼って会見に現れたスーチュルは「実力不足。判定が出る前から負けだと思っていた」と、試合を悔いた。