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“ミライモンスター”松本圭佑(左)が3度ダウンを奪いTKO勝利。戦績を7戦7KOとした(写真・山口裕朗)
“ミライモンスター”松本圭佑(左)が3度ダウンを奪いTKO勝利。戦績を7戦7KOとした(写真・山口裕朗)

なぜ”ミライモンスター”松本圭佑はスキンヘッドにイメチェンして7戦7KOのパーフェクトレコードを継続できたのか?「脱毛症に悩む人達に勇気を与えたい」の思いとライバル堤駿斗からの刺激

 プロボクシングの「フェニックス・バトル」が10日、後楽園ホールで行われ、メインのフェザー級8回戦では、松本圭佑(23、大橋)が浜口人夢(28、市野)に2回2分42秒TKO勝利して「パーフェクトレコード」を7戦全勝7KOに伸ばした。松本は大橋ジムのトレーナーで3度の世界戦経験のある元OPBF東洋太平洋&日本フェザー級王者の松本好二氏(53)の長男で、フジテレビ系「ミライ☆モンスター」で、子どもの頃から将来のボクシング界を背負うホープとして取り上げられてきた。大橋秀行会長(57)は「今年は勝負の年にしていい」とタイトル戦線に打って出る構想を明かした。

 3度ダウンを奪う圧巻のTKO勝利

 “ミライモンスター”はリングインすると頭に巻いたバンダナを外した。
 ずっと先天性の脱毛症に悩んでいて、ウィッグを使っていたこともあるが、カミングアウトを決意してスキンヘッドで登場した。凄みがあった。
「(スキンヘッドを)やると決めてからは(周囲の目は)気にしていない。同じ脱毛症、コンプレックスに悩んでいる人を勇気づけられたらいい」
 スキンヘッドボクサー=松本圭佑と定着させたいようで「(漫画)ワンパンマンのサイタマ(みたい)じゃないですが、新しいキャッチフレーズ、知名度を上げていきたい」と言う。
 プロ野球界では今季から日ハムのコーチに就任した森本稀哲氏、サッカー界では、元日本代表で現在は神奈川県厚木市の社会人チーム「はやぶさイレブン」でスーパーバイザーを務める田坂和昭氏ら、同じ悩みをスキンヘッドというトレードマークに変えて活躍したアスリートがいる。
 ボクシング界においても海外では、無敗の元5階級制覇王者のフロイド・メイウエザー・ジュニアや、元ミドル級の3団体統一王者のマービン・ハグラ―(共に米国)らスキンヘッドが代名詞の“レジェンド”も多いが、日本では、まだそれを個性にしているボクサーは少ない。スキンヘッドに生まれ変わった松本にとって7戦目にして興行のメインを張ることになった、この試合が持つ意味は大きかった。

 スピードと精度をグレードアップさせたジャブから組み立てた。
「ジャブでペースをつかむ。どれだけ悟られずに威力のあるジャブを当てられるかがテーマだった」
 “音無しの左ジャブ”が的確に当たった。
「KOを狙わずに長いラウンドを考えボクシングを組み立てていこう」
 そんなつもりでいた。
 尊敬する父で専属トレーナーの好二氏からも「ジャブで弱らせてから仕留める」とのプランを与えられコーナーからは「ジャブ、ジャブ」という声が飛んだ。その声に反応して浜口が右をかぶせてくれば、「どうするかは自分で判断しろ」と伝えられていた。
 2ラウンドに得意の左フックがショートカウンターとなってヒット。6勝5敗2分けの戦績を持つ浜口がぐらつくと、そこから2つパンチをまとめて、1度目のダウンを奪った。
「狙ってはいなかったが、相手はタフで、言い方は悪いが上手じゃないボクサーなので交錯の中で出たパンチ。でも思いもよらないパンチで倒せて、まとめるべきか、じっくりいくべきか悩んだ。その後もじっくりといくのが正解なんだけど、倒れるのを見ちゃうと火がついちゃう」
 一気にラッシュをかけたが、浜口も耐えに耐え、ラフにパンチを振りまわして突っ込んできては組み付かれた。まるで総合格闘技の試合のように一緒にもつれて2度も倒れるような“ドロドロ”の展開の中で、バッティングを受けて、左目の上を縦にざっくりとカットした。
「もう終わらせてしまおう」
 打ち下ろしの右ストレートで2度目のダウン。浜口は立ち上がってきたが、右のアッパーカットがアゴをとらえた。よろけて体のバランスを保つことができなくなったのを確認したレフェリーがTKOを宣告した。

 

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