なぜ新国立競技場はJリーグに積極活用されないのか…開場2年以上経過でやっとFC東京対ガンバ大阪戦開催…五輪のレガシー精神はどこへ?
明治安田生命J1リーグ第10節が29日に行われ、改修後で初めてJ1リーグ戦が開催された国立競技場で、ホームのFC東京が2-0でガンバ大阪に快勝した。ゴールデンウィーク初日に行われた歴史的な一戦には、大雨に見舞われながらもコロナ禍以降で最多となる4万3125人のファン・サポーターが集結。前節まで3試合連続スコアレスドローだったFC東京も後押しされ、前半38分にFWアダイウトン(31)、後半20分にはFWレアンドロ(28)が豪快なゴールで共演して4位に浮上した。
FC東京のアルベル・プッチ・オルトネダ監督(54)は試合後に「ここでの試合が、徐々に増えていくことを心から願っている」と熱弁を振るったが、今後のリーグ戦は7月2日の清水エスパルス-横浜F・マリノス、9月17日のFC東京-京都サンガF.C.だけ。1試合あたり1500万円とされる高額なスタジアム使用料が、国立競技場開催への足かせになっている。
「このスタジアムは我々クラブの将来の一部分を担っているのではないか」
新型コロナ禍で実施されてきたオンライン形式ではなく対面で行われた試合後の記者会見。改修後で初めてJ1リーグ戦の舞台となった国立競技場で快勝した、FC東京のアルベル監督の大声が地下2階に設けられた会見場に何度も響きわたった。
「今日の試合のポジティブなポイントのひとつは、オリンピックスタジアムでプレーできたことだ。FC東京は首都の名を背負っている。このスタジアムは、われわれクラブの将来の一部分を担っているのではないでしょうか」
東京都下の調布市にあるホームの味の素スタジアム以外で、FC東京がJ1リーグ戦を開催するのは2922日ぶり。2014年の同じく「昭和の日」に名古屋グランパスに0-1で敗れた舞台が、2万5851人が駆けつけた旧国立競技場だった。
ひるがえって今回は、3試合続いたスコアレスドローから一転して前後半に1ゴールずつを奪い、守ってはガンバを零封しての快勝。昼間から大雨が降り続いくあいにくの天候にもかかわらず、スタンドはコロナ禍以降で最多の4万3125人で埋まった。
今シーズンからFC東京を率いる、スペイン出身の指揮官の声がさらに弾んだ。
「ここで多くの試合をすることで、われわれのホームであるという実感がわいてくる。ここでの試合が、徐々に増えていくことを心から願っている。そして、FC東京の試合が、東京という街のエンターテイメントの大きな部分を担うことを願っている」
改修後の国立競技場でJ1リーグ戦が開催されるのは初めてだが、Jリーグの公式戦は2度目となる。昨年1月4日のYBCルヴァンカップ決勝。柏レイソルを2-1で振り切り、通算4つ目の国内タイトルを獲得したのも実はFC東京だった。
しかも、このときはレアンドロが先制弾、アダイウトンが決勝弾で揃い踏みした。相性のよさを感じているのか。負傷離脱した2月の開幕戦以来となる出場で、ドリブル突破から豪快なミドル弾を決めたレアンドロも、ジョークまじりに笑顔を浮かべた。
「ホームは毎試合ここでやってもらえるように、お願いしようと思っているよ」
もっとも、今後のスケジュールを見れば、FC東京が国立競技場で戦うのは9月17日の京都との第30節だけ。J1リーグ全体を見わたしても、清水がクラブ創設30周年記念マッチとしてマリノスを迎える、7月2日の第19節のみとなっている。