明日発表!阪神の”最強助っ人”ランディ・バース氏は“多様性の時代に”今度こそ野球殿堂入りを果たせるのか?
日本の野球殿堂入りの発表、通知式が明日13日に東京ドーム内の野球殿堂博物館で行われる。野球殿堂は、引退後5年以降の選手で、その後15年間が選考対象となるプレーヤー表彰と、監督、コーチ引退後6か月以上、もしくは引退後21年以降の選手が候補者となるエキスパート表彰に分かれていて、すでにプレーヤー24人、エキスパート19人の候補者が発表されている。プレーヤー表彰は野球記者、エキスパート表彰は殿堂メンバー&野球記者の投票により選考され、有効投票数の75%以上を得票した候補者が殿堂入りを果たす。今年度の注目は、2年続いて該当者なしとなっているエキスパート表彰で、昨年度はトップの投票数を獲得しながらも75%の合格ラインにわずか4票届かなった元阪神のランディ・バース氏(68)の合否だろう。過去に殿堂入りした外国人選手は2人しかいないが、事実上“外国人助っ人“と呼ばれる選手は、まだ選ばれていない。果たして多様化の時代にふさわしい選出はあるのか?
2年連続で合格ラインに数票足らずに落選
日本の野球殿堂には“7不思議”がある。
過去に特別表彰を含めて212人が選ばれているが、まだ“外国人助っ人“と呼ばれる外国人選手が入っていないのだ。外国人選手としては、1960年選出の元巨人のヴィクトル・スタルヒン氏、1994年選出の元中日などで活躍した与那嶺要氏の2人が選ばれているが、この2人は”外国人助っ人”とは呼べないバックボーンがある。
プロ野球初の300勝投手となったスタルヒン氏は、小学校から日本の学校に通っていた日本在住の選手で、“ウォーリー”の愛称で親しまれた与那嶺氏も日系2世。事実上、外国人選手と言える候補者はまだ誰一人として殿堂入りを果たせていない。
代表的な“最強助っ人“の一人は、リー兄弟の兄、元ロッテのレロン・リー氏だろう。リー氏は、首位打者、本塁打、打点のタイトルを総なめにし、4000打席以上の生涯通算打率.320は、歴代2位の記録。ロッテでの11年間の通算安打は1579安打(日米通算1983安打)、283本塁打で、かつては候補者に入っていたが、選出されなかった。
元オリックス(阪急)、ダイエーで10年間プレーしたブーマー・ウェルズ氏も、昭和を代表する外国人スラッガーだった。ブーマ氏は首位打者2回、打点王4回、最多安打4回のタイトルを誇り、1984年には打率.355、37本塁打、130打点で3冠王を獲得、今年度も候補者に入っているが、これまでは、合格ラインの票数を獲得できなかった。
そして元阪神のバース氏である。
プレーは6年間だけだったが、虎ファンから「神様・仏様・バース様」と呼ばれ絶大な人気を博した。
1985年、1986年と2年連続で3冠王を獲得して1986年の打率.389は、シーズンの日本最高打率である。あのイチローの最高打率.387を上回る数字だ。阪神が日本一となった1985年4月17日の巨人戦で槙原寛己氏から放ったバース氏、掛布雅之氏、岡田彰布(現阪神監督)が放った甲子園バックスクリーン3連発は、今なお語り継がれる伝説のシーン。当時の王貞治氏の記録に並ぶ7試合連続本塁打を放ち、球史に刻まれる“最強助っ人“の一人だが、ここまでは、殿堂入り投票で、あと一歩及ばなかった。
バース氏は、2004年にプレーヤー表彰で202票を得たが、当選ラインに届かず一度資格を失い、2013年からエキスパート表彰の候補者として復活。ここまで徐々に票を伸ばし、2019年は84票(3位)、2020年は89票(次点)、2021年はトップの95票を獲得したが、有効投票数の75%以上まで、あと6票足りず、昨年度もトップで106票まで伸ばしたが、あと4票で涙をのんだ。今年は3度目の正直というわけである。