なぜ織田記念での男子100mは“低調”に終わったのか…小池が10秒49でVもライバル欠場…復活ストーリーの行方は?
陸上の織田記念国際陸上が29日、広島のエディオンスタジアム広島で行われ、男子100mでは東京五輪代表の小池祐貴(住友電工)が10秒49で優勝。東京五輪では、金メダルを狙った男子4×100mリレーで予選敗退するなど、結果を残せなかった日本人スプリンターたちが新たなスタートを切っているが、今大会での男子100mは“不発”に終わった。
昨年は山縣亮太(セイコー)が10秒14(+0.1)で優勝。東京五輪でバトンをつないだ小池、桐生祥秀(日本生命)、多田修平(住友電工)も上位に入った。今シーズンを占う意味でもポイントとなる織田記念だが、今年は大会前から雲行きが怪しかった。
9秒95の日本記録を持つ山縣は以前から痛みのあった右膝を昨年10月に手術。今季はリカバリーに重点を置いていることもあり、出場を見送った。桐生は4月24日の出雲陸上100mを10秒18(+1.5)で快勝するも、「軽いケガ」をしたため、欠場した。
そしてレース当日は冷たい雨となり、好タイムを狙うのは厳しいコンディションとなった。予選2組に入った多田は持ち味のスタートダッシュが影を潜め、10秒57(-0.7)で5着。A決勝に進むことができなかった。東京五輪男子4×100mリレー補欠のデーデー・ブルーノ(セイコー)も予選1組で10秒89(-2.4)の5着。昨年の日本選手権でワン・ツーだった多田とブルーノはB決勝を棄権した。
ライバルたちが苦戦するなかで存在感を発揮したのが優勝した小池だ。今季は米国でシーズンインすると、様々なレースパターンを試してきた。そのなかで4月1日のスタンフォード招待は予選で10秒21(+2.0)、決勝は10秒31(+0.6)をマークしている。
今季は「中盤のトップスピードを高める」ことをテーマに掲げており、織田記念でも自身のレースを貫いた。予選は3組を10秒42(+0.3)で悠々とトップ通過すると、雨が上がったA決勝は序盤で遅れるも、中盤から強さを発揮する。50~80m区間で他の選手を圧倒。終盤はスピードを緩めながら10秒49(-3.3)で圧勝した。2位は東田旺洋(栃木スポーツ協会)で10秒54、3位は伊藤孝太郎(東京ガスエコモ)で10秒57だった。
予選は「ケガだけはしないように」と慎重に駆け抜けた小池。決勝は強風にタイムを阻まれたが、走りの内容には手応えを感じている。
「風が強すぎてちょっと気持ち悪いレースになっちゃったんですけど、気象条件を考えると、合格点は超えたんじゃないでしょうか。仮に追い風だったとしたら、かなりいい感覚だったと思います。最後はちょっと肉離れが危ないと思ったので、流すようなかたちになったのがマイナス点ですね」