なぜ三笘薫は1654人の選手間投票で初代MVPに選ばれたのか…将来の海外組へ贈った3つのメッセージ
日本プロサッカー選手会(JPFA)は18日、年間を通して活躍したJPFA所属選手を表彰する新設の「JPFAアワード2022」を発表。初代最優秀選手賞(MVP)に、W杯カタール大会で日本代表のベスト16入りに貢献したMF三笘薫(25、ブライトン)を選出した。国内外のプロサッカー選手1654人による投票で選出された三笘は、ビデオメッセージで、将来の海外挑戦を夢見る子どもたちへ、自身の経験から導かれた3つの金言を贈った。
イングランドの選手間選出MVPを参考に新設
選手が選手を選ぶ。斬新な価値とともに新設されたJPFAアワードで、初代MVPに選ばれた三笘はビデオメッセージを通じて「大変光栄に思います」と喜びを語った。
「一緒にピッチで戦った選手や対戦相手として戦った選手に評価していただき、これ以上ない嬉しさがあります。この賞に恥じぬようにこれからも精進していきたい」
ここで素朴な疑問が頭をもたげてくる。
何度も名前が出てくるJPFAとはどのような組織なのか。1996年に任意団体として発足したJリーグ選手協会が、海外クラブに所属する日本人選手が増えてきた2010年の段階で現在の名称に変更された。JPFAとは「JAPAN PRO-FOOTBALLERS ASSOCIATION」の頭文字を取った略称で、いま現在は一般社団法人および労働組合として活動している。
現在は森保ジャパンのキャプテンを務めてきたDF吉田麻也(34、シャルケ)が第7代目にして、海外クラブ所属選手で初めて会長を務めている。その吉田が会長に就任した昨年6月から、設立へ向けて尽力してきたのがJPFAアワードだった。
アイデアの源泉は2012年8月から約7年半にわたって所属した、プレミアリーグのサウサンプトン時代に目の当たりにした光景となる。イングランドではプロ選手協会(PFA)が年間最優秀選手などを選出し、表彰された選手が喜びに浸ってきた。
「選手の投票によって表彰される。ものすごく価値があると思っていました」
シャルケの練習開始前、ドイツ時間の18日早朝にオンラインで取材対応した吉田が、選手間の互選にもたらされる意味を強調。その上でこう続けた。
「なぜ日本にこのような賞がないのか、ずっと疑問に思っていました。選手が選手の価値を高めることを含めて、ステータスや環境を自分たちで作っていく必要がある。これから日本が強くなっていくためには、さらに多くの選手が海外に出ていかなければいけない。その意味でJリーグに所属していない選手も、しっかり評価されるべきだと考えました」
選者および受賞対象者は、昨年11月20日時点でJPFAに所属している男子会員1654人。内訳は海外が29人、J1が480人、J2が636人、J3が509人となっていて、昨年末に期間が設定された投票で各カテゴリーのベストイレブンとMVPを選出する。