球界大御所が指導者経験のない広島・新井貴浩監督の成功に太鼓判を押す理由とは…「今年のカープはV争いに加わってくる」
いよいよプロ野球キャンプが1週間後に迫ってきた。元巨人でヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏が期待を寄せるのが広島の新監督となった新井貴浩氏(45)の手腕だ。コーチなどの指導者経験がなく、4年連続でBクラスに低迷しているチームの再建を不安視する声もあるが「新井なら大丈夫。優勝争いに加わってくる」と太鼓判を押す。球界大御所が新井カープを推す理由とは?
「経験の無さは周囲の補佐役コーチでカバーできる」
2月1日のキャンプインをフレッシュな指揮官を迎えてスタートを切るのは、セ・リーグでは阪神の岡田彰布監督と広島の新井監督、パ・リーグでは西武の松井稼頭央監督とロッテの吉井理人監督の4人だ。それぞれの監督の意気込みもファンの期待も高まるが、“球界大御所“の広岡氏が注目しているのは広島の新井監督だ。
広岡氏は、現役引退後、解説者を経て指導者としての第1歩を根本陸夫 監督に誘われ広島での内野守備コーチからスタートさせたという経緯がありカープには、また巨人とは違った思い入れがある。
「いろんな意見があるようだが、新井は監督として成功すると思っている。今季の優勝争いに加わってくるチームだ。前任者の佐々岡が、あまりに残念な指揮官だっただけに、必ず昨年よりは上積みがある」
前監督の佐々岡真司氏の3年間は、5位、4位、5位と低迷した。2016年からリーグ3連覇を果たした緒方孝市監督の最終年も4位だったから4年連続のBクラスである。
新井監督にはBクラス脱出、チーム再建という大きな命題がのしかかるが、コーチ経験がないまま、4年のネット裏生活を経て45歳の若さで異例の監督抜擢となったことへ不安はある。
だが、広岡監督は、「監督経験などなくても周囲の補佐役のコーチがいくらでもフォローできる。ソフトバンクでも工藤公康はコーチ経験がないまま監督に就任して成功したではないか。問題は監督としての素養。苦労を重ねた新井には、それがある」と不安説を一蹴した。
新井監督は、地元の広島工から駒沢大へ進み、1998年のドラフト6位入団から努力でレギュラーの座を手にした苦労人だ。2000年から8年連続2桁アーチを記録し、2005年には43本塁打でタイトルを獲得、2007年オフにFAで阪神に移籍した。その涙の会見が話題となったが、カープの本拠地ゲームではブーイングを浴び、2011年には阪神では打点王も獲得したが、その後、徐々に活躍の場を失い2014年限りで阪神を退団、自由契約となった。そこで救いの手を差し伸べたのが古巣の広島だった。メジャーで活躍していた黒田博樹氏と共に復帰。2年目の2016年には25年ぶりの優勝に貢献。史上初めて2000安打、300本塁打、リーグ優勝、リーグMVPを同一シーズンに達成した。当時39歳だったが、チームの明るいムードメーカーとして、ベテランになっても黒田氏らに「いじられる」実直で憎めぬ人柄で若手にも慕われ、その人間性と野球に対する情熱、そして何よりカープ愛が球団に高く評価されて今回の監督抜擢につながった。
「彼は貴重な経験をしてきた。とりわけセンスがあるわけではなかったが、努力と練習量でレギュラーを手にした叩き上げ。FAで広島を出ていった際にはファンの反感を買い、それでも苦労を続け、素晴らしい人間性があったからこそ松田オーナーが戻そうと決断したのだろう。彼は、監督就任会見で、『猛練習という広島の伝統を大切にしたい』というような話をしていたが、その考えは正しい。常に勉強を続け、根気と情熱を持って選手と向かい合える人間は監督として成功する」
広岡氏は、新井支持の理由をこう説明した。