井上尚弥がフルトン戦の交渉を認め「2人が戦えば面白い試合になる。何が何でも勝つ」と発言した理由とは?
プロボクシング前4団体統一世界バンタム級王者で現WBO世界スーパーバンタム級1位の井上尚弥(29、大橋)が31日、都内でWOWOWの「エキサイトマッチSP(井上の4団体統一戦)」の収録を行い、海外の報道が先行しているWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(28、米国)との世界戦交渉が進んでいることを明かし具体的な戦略を初めて口にした。転級初戦からビッグマッチを自らに課したモンスターは、早くも、「僕とフルトンがやれば面白い試合になる。ここからは勝ちに徹する。何が何でも勝つという気持ちでやる」と宣言。交渉中の試合は5月上旬に首都圏内での開催が予定されている。
「フルトンをイメージしている」
“モンスター”がフルトンとのビッグマッチの交渉が現在進行中であることを認めた。米メディアが「合意」と先行報道しているフルトン戦について「そこを第一に交渉を進めているんじゃないですか」と明かしたのだ。
すでに映像もチェックし「フルトンをイメージしている」という。
21戦(8KO)無敗のフルトンは90戦のアマキャリアを持つ黒人の右構えのボクサーファイター。スキルは高く、1m69の体格でリーチは1m79もありアウトボクシングもインファイトもできる。
井上との試合が決まる前にフェザー級でのWBC暫定タイトルをかけての再戦が内定しかけた元WBA&WBC世界スーパーバンタム級王者のブランドン・フィゲロア(26、米国)との2021年11月の激戦では、フルラウンドを戦い、闘争心だけでなく、フィジカル、スタミナも十二分に備え持っていることを示した。
もう一人の2団体統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(28、ウズベキスタン)もパワーがあるが、身長は1m65の井上と変わらず、スーパーバンタム級での“1.8キロ”の壁を感じざるを得ない「フレーム」という部分を加味すると、この階級でフルトンが最大の強敵と言っていい。
しかも全米での知名度と人気もある。
「緊張感は過去で一番高いんじゃないかな。緊張感があるからこそ凄いモチベーションで練習ができるし、凄い試合を見せれるんじゃないか」
プロ転向時から強い相手を求め続け、減量の厳しさと共にバンタム級の4団体を統一して「戦いたい相手がいなくなった」と転級を決意した井上がその初戦に「最も戦いたい」フルトンを熱望したのも当然か。
「楽しみと不安の両方ある」
2つの感情が交錯する。
「(これまでは)適正の階級でやってきた。それなりに自信があった。でも、スーパーバンタム級は未知な階級」
すでに肉体改造は進めている。
「バンタム級へ落とす過程でスーパーバンタム級(の体重を)行き来する中で、いい状態で試合ができると感じていた」との手応えはあるが、本当に通用するかどうかは、やってみなければわからない。しかも、フルトンはフェザー級に上げようとしたほどのナチュラルな体格で、ライトフライ級から階級を上げてきた井上にはハンデがある。
「気にしているのはフレームのところ。そこをどう感じるか。スーパーバンタム級に上げてどんな動きができるか。リング上でどう感じるかが大事なところ」と井上も本音を明かす。
WOWOWの番組内では、その“でかい”フルトンに対しての具体的な攻略法についても口を開いた。
「距離感をどう感じるか。ジャブが当たるか、当たらないのか。身長とリーチだけでなく足も長い。その空間に入ったときに距離感をどう感じるか」