• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 中日キャンプ“第1号“を放ったメジャーで逸話作った新外国人アキーノは立浪竜の救世主となるのか…立浪監督が「練習でも打った(意味が)大きい」と語った理由とは?
中日の新外国人アキーノが沖縄キャンプのシート打撃でバックスクリーンに第1号を放り込んだ
中日の新外国人アキーノが沖縄キャンプのシート打撃でバックスクリーンに第1号を放り込んだ

中日キャンプ“第1号“を放ったメジャーで逸話作った新外国人アキーノは立浪竜の救世主となるのか…立浪監督が「練習でも打った(意味が)大きい」と語った理由とは?

中日の新外国人アリスティデス・アキーノ(28)が5日、沖縄北谷のAgreスタジアム北谷で行われたシート打撃で左腕の橋本侑樹(25)からバックスクリーンに“第1号”を放ち、立浪和義監督(53)を「いい打ち方をすればパワーはある」と安心させた。レッズ時代に10戦7本塁打など数々の逸話を作ったドミニカンは、最下位脱出の救世主となれるのか。

 メジャーでは不得意だったスライダーを仕留める

 

 中継で使われる慣用句で言えば、打った瞬間に“それ”とわかる打球ではなかった。橋本の投じたスライダーを捉えた打球は、低い弾道を描き、ぐんぐんと伸びて、バックスクリーンのすぐ左に着弾したのだ。
「しっかりと強く叩けた。いい打球だったと思う。打てる球をセンターへ返す。それだけを意識していた。打球はライナーでもフライでも関係ない」
 初球のスライダーに空振り、2球目のストライクのスライダーを見送って簡単に追い込まれたが、3球続いたスライダーを見逃さなかった。
 実はレッズ時代、スライダーが最も不得意なボールのひとつだった。三振率は42%、打率.168の数字しか残せなかった球種なのだが、この日は、見事に対応して見せた。
「打てる球を絞って打ち損じをしないこと。よくは覚えていないが、スライダーが中へ入ってきて、それが打てる球だったということだ」
 アキーノはシート打撃の打席でのテーマをこう説明した。
 最下位脱出のキーマンが見せた一発に立浪監督も「いい打ち方をすればパワーがある」とひと安心。自らドミニカのウインターリーグにまで足を運んでアキーノのプレーを見て獲得を決めた立浪監督は、本人をつかまえて「長打は期待していないぞ」と冗談を飛ばすほどだった。

 アキーノは数々の逸話を作ったメジャーでも有数のホームラン打者である。通算41発で、2019年には夏場にメジャー昇格すると4試合連発、1試合3発など10戦7発の驚異的な固め打ちを見せ「恐ろしいプロスペクト(有望株)が出現した」と騒がれ、プレイヤー・オブ・ザ・ウイークに選出されている。
 打球速度はメジャーでもトップクラスの最速190キロをマーク。ホームランに直結する打球角度のバレル率も11.3%でメジャーの平均値よりも高い。極端に左足を開く超オープンスタンスから踏み込んで打つ独特の打撃スタイルにも注目が集まっていた。メジャー通算221発で、ソフトバンクでもプレーしたトニー・バティスタに似た打撃フォームとして米メディアに分析されたこともある。
 だが、一方でメジャーでの平均三振率が33.5%と高く、ここ2年はそれが36%を超えて3年続けて打率は1割台と低迷。マイナーでは平均打率は3割を超えるのだが、メジャーのハイレベル投手の変化球と制球力の前に、クルクルとバットが回って、オフにノンテンダーFAとなった。そこに中日が目をつけてインセンティブを合わせて約2億円で契約を結んだ。
 昨年のチーム本塁打数は62本。ヤクルトの村上宗隆が1人で打った56本に肉薄される数字でチーム最多がビシエドの14本だった。本塁打が喉から手が出るほど欲しかった中日にとっては、待望のアーチストを手にしたわけだが、リスクもある。三振か、ホームランか、の三振ばかりが目立つようでは4番の役目を果たせない。しかも、スライダー、チェンジアップが不得意ボールであるのならば、コントロールに長けている日本人投手にカモにされる危険性がある。打球方向の46%がレフト方向だという典型的なプルヒッターである点も日本野球においては不安要素だ。
 だが、立浪監督は、リスク回避に動いた。

 

関連記事一覧