なぜ森保監督はブライトンで大活躍をしている三笘薫の「ジョーカー」から「先発起用」への”格上げ”を示唆したのか?
ヨーロッパを視察している日本代表の森保一監督(54)が8日にオンライン取材に応じ、直近の公式戦7試合で3戦連発を含めた5ゴールを決め、サッカーの母国イングランドを席巻しているブライトンのMF三笘薫(25)を称賛した。W杯カタール大会では全4試合で、三笘をジョーカーとして途中起用した森保監督は「先発でプレーできるだけの力はある」と明言。3月シリーズから幕を開ける第2次政権で、攻撃面で違いを生み出せるエース候補として期待をかけた。
日本を飛び立ってから10日あまり。当初の予定通り視察先をドイツとフランスにとどめていても、イングランドで三笘が放つまばゆい輝きは森保監督のもとにも届いていた。
ドイツのデュッセルドルフに置かれた、日本サッカー協会のヨーロッパオフィスで応じたオンライン取材。直近の公式戦7試合で3戦連発を含めた5ゴールを決め、ヨーロッパだけでなく世界中から注目を集める三笘への評価を問われた指揮官は思わず表情を崩した。
「攻撃の部分でいえば得点する能力も上がっているし、得点チャンスを作り出すクオリティーも上がっている。何よりもインテンシティーが高く、攻撃だけでなく守備でもチームに貢献している。自分のよさと足りなかった課題の部分を非常に上手く整理して、どちらもレベルを上げながら自分の成長に繋げているところが素晴らしいと思っています」
ヨーロッパに到着してすぐに、三笘をめぐるフィーバーを実感した。
最初の視察はMF伊東純也(29、スタッド・ランス)が出場する、1月29日のパリ・サンジェルマンとのリーグアン第20節。羽田空港からパリに入った森保監督は、キックオフ前に行われていたブライトンとリバプールのFAカップ4回戦の中継に見入っていた。
迎えた後半アディショナルタイム。三笘が空中ダブルタッチの“離れ業”から、1-1の均衡を破る決勝点を決めて前回王者リバプールを沈めた。何度も再生されたスーパーゴールを画面越しに見ながら、あらためて衝撃を受けていた矢先に国際電話が入った。
声の主は日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(65)だった。日本時間は日付が30日に変わったばかりの深夜。筑波大OBで三笘の先輩となる田嶋会長は興奮のあまり、ヨーロッパ視察へ出発したばかりの森保監督に国際電話を入れていた。
「会長も試合を見ていたそうで、本当にすごいと興奮していました。会長も大学時代から知っていた三笘が国内から世界へ羽ばたいて、リバプールという世界的な強豪を相手に、歴史あるFAカップの舞台で素晴らしいゴールを決めた。三笘の成長ぶりが本当に嬉しかったんだと思いますし、その気持ちはめちゃくちゃ伝わってきました。もちろん私も嬉しかったです」
森保監督自身もプロになる前から三笘を注視してきた。
東京五輪を目指す男子U-20代表監督に就任し、初陣のM-150カップ(タイ)に臨んだ2017年12月。招集した23人のなかで5人だけだった大学生に、筑波大2年の三笘が名を連ねた。