なぜ5.7横アリで井上尚弥とフルトンの「世界が注目の史上最大のビッグマッチ」が実現するのか…奇跡的タイミングと日本で急速に発展する映像配信ビジネスマネー

　プロボクシングの前バンタム級4団体統一王者の井上尚弥（29、大橋）が5月7日に横浜アリーナでWBC＆WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン（28、米国）に挑戦することが6日、東京六本木のグランドハイアット東京で発表された。すでにWBC、WBOで1位にランクされている井上は、転級初戦に無敗の2団体王者に挑戦することになったが、世界が注目する「史上最大のビッグマッチ」が実現した背景には、井上の世界的評価に加え、奇跡的な交渉のタイミングと日本の映像配信ビジネスの発展があるという。試合はNTTドコモの新映像配信サービス「Lemino」で独占無料配信される。

　「倒せるときがあれば倒しにいく」

　待ちに待った正式発表。ピンストライプの濃紺スーツでグランドハイアットの巨大なステージに登場した“モンスター”は胸の高ぶりを抑えるかのように、まず関係者へ感謝の意を伝え「ほっとしている。スーパーバンタム級は自分自身への挑戦になっていく。しっかりと仕上げて最高の結果を出すだけ。階級を上げて、いきなりビッグマッチができることでモチベーションが上がるし、ファンにとっても楽しみなカード。今日発表できてよかった」と、決意表明をした。
　フルトンは21戦（8KO）無敗の最大の難敵。身長1m69、リーチ1m79の体格があり、ディフェンス能力が高く、遠い距離でも密着戦でも戦える完成度の高いボクサーだ。
　井上はフルトンを「身長、リーチともに自分よりある選手。印象としてはジャブを突いて距離をとって判定で勝つという選手。そういう選手ほど倒す難しさがある」と評した上で、「今回は勝ちに徹する試合をしたい」と慎重に答えた。
「まずはパワーでは負けていない。スピードに関しても一瞬のスピードでは自分が上。あとはゲームプラン、戦術などに関しても。戦ってみないとわからない部分は多いが。どの試合に関しても判定までもつれこむイメージを持って準備している。倒せるときがあれば倒しにいく。それ以外では、しっかりとポイントを重ねていくことが重要」
　具体的な勝利イメージを膨らませた。
　4月8日に有明アリーナでボクシングデビュー戦を控える那須川天心（24、帝拳）が、フルトンが2年前にWBOタイトルを取った元王者のアンジェロ・レオ（28、米国）と米国でスパーリングを行っており、そのレオが、関係者に「2人ともいい選手だが、尚弥のパワーが上。尚弥が勝つだろう」と明かしているという。レオは、フルトンに大差判定負けをしたが、内容は点差ほど開いていなかった。
　井上のマッチメークを任されていて今回のフルトン戦を実現させた帝拳ジムの本田明彦会長によると「世界が注目している史上最大のイベント」だという。井上の全米での評価と注目度は、スーパーミドル級の4団体統一王者の超スーパースター、サウル“カネロ”アルバレス（メキシコ）と双璧で、全米でトップクラスの人気と実力を持つフルトンとの対戦への注目度が加熱しているという。
　なぜその史上最大のビッグマッチが日本で実現するのか。