侍ジャパンはWBC準々決勝で“知能派”ピアザ監督率いるイタリアに勝ち米国へ行けるのか…メジャーリーガーを含む左巧打者6人並べる不気味な打線
WBCプールBの1次ラウンド第4戦、日本対豪州が12日、東京ドームで行われ、侍ジャパンが、エンゼルス大谷翔平(28)の看板直撃の先制3ランなどで7-1のスコアで快勝した。4連勝の日本は1位通過で準々決勝進出を決め、16日に混戦のプールAで2位に食い込んだイタリアと対戦することになった。野茂英雄氏の“女房役”としても知られる米殿堂入りの“レジェンド”マイク・ピアザ監督(54)が率いるイタリアには大谷の同僚であるエンゼルスのデビッド・フレッチャー(28)、ロイヤルズのニッキー・ロペス(28)とビニー・パスカンティーノ(25)の内野コンビらのメジャーリーガーもいて、元メジャーやマイナーリーガーで構成されている気の抜けない不気味な相手。大谷の先発が予想されるが、果たして侍ジャパンはイタリアに勝利して準決勝、決勝が行われる米国アイアミへ行けるのか。
絶好調のフレリック、ロペスの1、2番コンビに要注意
侍ジャパンは最高の形で準々決勝進出を決めた。
1回。ムードメーカーの“リアル侍”ヌートバーが四球を選び、打率.467と絶好調の近藤が、ヒットでつなぎ、二刀流スターの大谷に回した。大谷は、自らのCM看板を直撃する衝撃の3ラン。そして沢村賞投手の山本が4イニングを1安打8奪三振のシャットアウトである。
ヒーローインタビューに指名された大谷は、「どこからでも点数が取れますし、ピッチャーも粘り強く投げてくれているので、いい試合が続いているなという印象」と、侍ジャパンの現在地を示した上で、準々決勝に向けて「次以降、強いチームが待っているので、気を引き締めて頑張りたいなと思います」と気合を入れ直した。
日本の準々決勝の相手が決まるプールAは大混戦だった。大本命だったオランダにイタリアが7-1で逆転勝利。2勝2敗でキューバ、オランダ、イタリア、パナマ、台湾の全チームが並んだが、失点率で、キューバが1位、イタリアが2位となり、日本の相手は、過去に予選突破経験はなくダークホース的存在だったイタリアに決まった。アズーリ軍団である。
2013年のWBCで戦略コーチを務めた現・新潟アルビレックス監督の橋上秀樹氏は、「メジャーを揃えていたオランダを最後に破ってきたチームだけに勢いがある。1次ラウンドの4試合で本塁打はゼロだが、コンパクトに打てる左の好打者が揃い、小技も使ってくるので国際試合では嫌なチーム。戦力の充実度で言えばもちろん日本が上だが、一発勝負のトーナメント戦だけに不気味な存在だと言わざるを得ない」と指摘した。
ドジャース時代に野茂英雄氏とバッテリーを組んで4番を打ち、メジャー通算427本塁打で米野球殿堂入りしている知能派のピアザ氏が監督を務める。2006年大会は選手として出場、2009年大会、2013年大会はコーチとして参加しており、国際大会における指揮経験も豊富で1次ラウンドでは、打順で固定したのは「1番レフト」のブリュワーズ傘下のサル・フレリック(22)一人だけで、全試合でオーダーを変えてきた。
コンディションとデーターを最優先。波乱を起こしたオランダ戦では、この4試合で、高打率を残している左打者を1番から6番まで並べ、逆転した4回の攻撃では、3番に置いたダイヤモンドバックスのキャンプに参加しているデビッドの弟であるドミニク・フレッチャー(25)のエンタイトルツーベースから始まる打者一巡の猛攻で、6得点のビッグイニングを作って勝負を決めた。
チーム本塁打はゼロでパワーヒッターはいないが、大谷の同僚のフレッチャー兄のようにシャープなスイングでコンタクト率の高い左の巧打者を6人揃えている。大砲不在のマシンガン打線。要注意は、打率.389で足のあるフレリックと、打率.500のロペスの1、2番コンビ。昨年ロイヤルズ、144試合に出場しているロペスは、とにかく絶好調で、1次ラウンド初戦のキューバ戦では、7番を打っていたが、第3戦のパナマ戦で6番に昇格し、オランダ戦では2番に抜擢された。
またピアザ監督は打者の特性を生かして緻密な機動力も駆使してくる。台湾戦では、ロペスがセーフティースクイズを成功させ、無死二塁から始めるタイブレークにもつれこんだキューバ戦では、二塁走者のフレリックにいきなり三盗を仕掛けさせて成功。自らの現役時代のようにオランダ戦で4番を任せた捕手のブレット・サリバン(29)までセーフティバントを試みるチーム。先発予定の大谷の攻略が難しいと考えれば、バントや機動力を絡めて揺さぶってくるのかもしれない。