チェコ母国、米メディアが報道…世界が佐々木朗希のお菓子持参“謝罪”を称賛…死球受けたエスカラ「日本人は素晴らしい。ロウキに出会えて良かった」
侍ジャパンの千葉ロッテ佐々木朗希投手(21)が13日、1次ラウンドのチェコ戦で死球をぶつけたウィリー・エスカラ内野手(24)の宿泊ホテルを訪れ、両手一杯のロッテのお菓子を持参して“謝罪”した。佐々木の紳士的行動をチェコの母国メディアや米メディアが絶賛。エスカラの「謝罪にくるなんて信じられない。日本人は素晴らしい。ロウキに会えて良かった」というコメントを紹介した。WBCの開催には、国際親善、野球普及の国際化などの目的があるが、佐々木の行動は、世界へ感動と反響を広げている。
お菓子はバス内でチェコの全選手に配られる
佐々木のお菓子持参“謝罪”の反響が海を超えた。
ロッテマリーンズの広報室の公式ツイッターによると「ずっと気にしていた」という佐々木は、この日、午前8時半過ぎに、東京都内にあるチェコの宿舎のホテルを訪れ、豪州戦が行われる東京ドームへ向かうバスに乗り込む寸前のエスカラに2つの袋一杯に詰めたロッテのお菓子を手渡して、死球についてお詫びしたという。
佐々木は11日のチェコ戦に先発。4回に制球ミスでエスカラの左膝に160キロを超えるストレートをぶつけてしまっていた。「ボゴ」という不気味な音が響くほどの衝撃で、エスカラは、その場で仰向けに倒れ込み悶絶したが、やがて立ち上がって笑顔で一塁へ歩き出し一塁ベース上で、西武の山川穂高が帽子を脱いで謝罪して何か話しかけると「大丈夫」と山川の背中に笑って手をやり、足の状態を確かめるようにファウルグラウンドでダッシュ。東京ドームの観客は大歓声と拍手でエスカラのスポーツマンシップとファイトを称えていた。
この佐々木の紳士的な行動をチェコのスポーツメディア「iSport.cz」は大々的に報道した。特派員のマーティン・ハシク記者が伝えたもので「死球への謝罪:有名な日本人は袋一杯のお菓子を持参した」との見出しを取って、佐々木の行動を報じた。
同記事は「佐々木はエスカラの膝に162キロの強烈な死球を当てたことにきちんと決着をつけた。日本国民の憧れの佐々木が、土曜日の試合に起きた不愉快な出来事を謝罪に来た」とし、4枚の写真を掲載した。
バスの前でお菓子を受けとった瞬間、佐々木がエスカラのボールにサインをしているシーン、ジャージをまくって左膝の当たった箇所に異常がないことを示しているものと、2人のツーショット写真だ。
そして謝罪を受け入れたエスカラのコメントを紹介した。
「素晴らしかったよ。謝罪に来たなんて信じられないよ。試合には死球はつきもの。日本人は素晴らしい人たちであり、素晴らしい文化。これ以上、何と言えばいいのか……」
同メディアによると、12日の夜にMLBの大会主催者からチェコチームに帯同している事務局長のルシア・ザワダ氏に電話連絡が入り「彼らはロウキが立ち寄りたいと言ったので、私たちは朝手配をした」という。
手渡されたお菓子の「コアラのマーチ」などのチョコレートやキャンディーは、さっそくバス内で全選手に配られ、「次は僕もぶつけられなきゃいけないのかな?」などのジョークが飛び交ったという。
チェコではサッカーやアイスホッケーがメジャースポーツで野球はマイナー競技の部類に入るため「打者がボールを当てられる死球は、野球の一部であり、通常は大騒ぎすることはない」と説明。マレク・ミナリク投手(29)の「普通、こんなことで謝ったりはしない。打者に近づいて『すみません。そんなつもりじゃなかったんです』とは言えないのだ。なぜなら、そうすれば動揺していることを相手に示すことになり相手もそれを利用するだろう」との声を拾って、いかに佐々木の行動が異例だったかを示した。
エスカラは「ピッチャーに直接謝罪されるなんて初めてだよ。たまにグランド内で相手が『すまない、当てるつもりはなかったんだ』と言うときはあるけどね。彼(佐々木)に出会えて本当に良かった。彼は信じられないような人格者だ」と、佐々木の行動と、その人間性を称えた。
また同記事は、12年前に東日本大震災が発生した「3.11」が佐々木にとって特別な日だったことも伝えた。
「福島第一原発を襲った地震と津波で、父と祖父母が亡くなり、実家が風雨にさらされてから、ちょうど12年目の日だった」
試合前の震災発生時刻には、侍ジャパンの選手団、関係者が輪を作り黙祷を捧げている。