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雄叫びを挙げる大谷翔平を中心に世界一の歓喜の輪ができた(写真:UPI/アフロ)
雄叫びを挙げる大谷翔平を中心に世界一の歓喜の輪ができた(写真:UPI/アフロ)

「優勝は難しい」と“激辛予言”した球界大御所は侍ジャパンの世界一をどう評価したのか…「本気度で米国を上回った称賛に価する優勝」

 WBCの決勝が日本時間22日に米国マイアミのローンデポ・パークで行われ、日本が米国を3-2で下して14年ぶりの世界一に返り咲いた。米国での準決勝、決勝を前に「優勝は難しい」と“激辛予想”をして物議を醸した巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏は、侍ジャパンの世界一をどう評価したのか。

 広岡氏が選ぶMVPは中村悠平

 侍ジャパンの世界一までの全試合を自宅でテレビ観戦した“球界大御所“は、辛口評論を封印して、素直に称賛の言葉を送った。
「正直、アメリカには勝てないと思っていたが、メキシコ戦の逆転サヨナラ勝利で一丸となった日本の一生懸命さと本気度がアメリカを上回った。最後、大谷に三振に打ち取られたトラウトは悔しがってはいたが、アメリカからは、本気で勝つんだ、優勝するんだという意志が伝わってこなかった。アメリカは球団が嫌がって選手を出さなかったせいでピッチャーの程度は低くコントロールも悪かったが、それらを差し引いても、称賛に値する優勝だと思う。日本の1球、1打に積み重ねた研究や練習の成果が出ていたし、ファンとメディアの応援で生まれた盛り上がりも後押ししたのだろう」
 そして、広岡氏は、こう続けた。
「打つべき人が打ち、抑えるべき人が抑えた。その中でも私はMVPに中村を推したい。チームとしてどれくらいのアメリカのデータを集めていたかはしらないが、配球にかなりの研究の後が見えた。そこにプラスして中村が打者を注意深く観察して狙い球を絞らせなかった。積極的にインコースのボールを使ったことも良かったし、ピッチャーも攻める姿勢を最後まで失わず、抜群の制球力で、そのリードに応えた。こういう小刻みな継投は、うまく転べば、相手の目先を変えて翻弄できるが簡単ではない。短期決戦では特にプレッシャーもかかりどこかで綻びが出たりするものだが、中村を含むチームの研究と一生懸命さでカバーした。ピッチャーが良ければ守り勝てる」
 栗山監督は、捕手に甲斐拓也(ソフトバンク)と中村悠平(ヤクルト)を交互に併用してきたが、決勝戦には中村を抜擢した。
 米国は、オールスターの豪華打線を揃えてきたが、先発の今永昇太(横浜DeNA)から、戸郷翔征(巨人)、高橋宏斗(中日)、伊藤大海(日ハム)、大勢(巨人)と小刻みに継投でつなぎ、8回にダルビッシュ有(パドレス)、9回には「3番DH」で出場していた大谷翔平(エンゼルス)をリリーフ起用した。今永とダルビッシュがそれぞれソロホームラを被弾したが、失点は、その2点のみ。まさに守り勝った。
「メジャーリーグのチームのスカウトは当然見に来ているだろうし、これからアメリカに行く選手が増えますよ。準決勝、決勝で投げた選手は全員アメリカでやれるだろう。ただ日本のスターが次から次へと日本のプロ野球からいなくなり、空洞化することが心配。そこはコミッショナーが考えなければならない」

 

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