米メディアも佐々木朗希vs山本由伸の“侍エース対決”に注目…「隠された完全試合」「山本は来年MLBに来て支配するだろう」
WBCの優勝に貢献した千葉ロッテの佐々木朗希(21)とオリックスの山本由伸(24)の“侍エース対決”が14日、ZOZOマリンスタジアムで初めて実現した。佐々木は、7回をわずか1安打11奪三振無失点。一方の山本は、6回5安打9奪三振1失点で日本最高峰の投手戦を佐々木が制した。2人の競演は海を越えて米メディアでも伝えられた。
「今日は1点取られたらもう勝てないと思っていた」
“侍エース対決”のプレーボールを前に熱狂的な大谷マニアで知られるスポーツ専門局「FOX Sports」のアナリストで、サイヤング賞右腕ジャスティン・バーランダー(メッツ)を兄に持つベン・バーランダー氏が自身のツイッター(@BenVerlander)をおもむろに更新した。プレーボールが目前に迫っていた千葉ロッテ対オリックスが待ちきれないとばかりに、新たに投稿されたツイートにはこんな言葉が綴られていた。
「NPB史上で最高の対決が繰り広げられる。ロウキ・ササキ対ヨシノブ・ヤマモトだ」
日米のファンが待ち焦がれてきた初の“侍エース対決”を制したのは令和の怪物だった。
ヒーローインタビュー。7回を1安打11奪三振無失点の快投で味方の援護を受けて2-0のスコアで今季2勝目をあげた佐々木の第一声に、山本へ抱くリスペクトの思いが凝縮されていた。
「今日は1点取られたらもう勝てないと思っていたので、どうにかゼロで抑えることだけを考えて投げました。後のことを考えるよりも、最初から勢いをつけて投げられたら、と」
山本の先発試合で先制されれば、ロッテの敗戦確率が極めて高くなる。WBCでも共闘した日本球界の絶対エースの実力を肌で感じてきたからこそ、ペース配分を度外視する決意を込めてマウンドに上がったと明かした佐々木は、直後に苦笑を浮かべている。
「はい、後半はバテました」
言葉通りに初回の1番・茶野篤政を皮切りに、2回の4番・杉本裕太郎までをすべて三振で仕留める。3回一死からは圧巻の5者連続三振をマーク。4回で奪三振数は早くも「10」に達し、5回を終えた時点でオリックス打線をパーフェクトに封じ込めていた。
昨年4月10日。舞台も同じZOZOマリンスタジアムで、オリックスを相手に達成した史上28人目の完全試合の記憶が脳裏に蘇ってくる。しかし、佐々木自身が振り返ったように、山本を意識した力投は確実に体力を削っていた。
6回の先頭・西野真弘を四球で歩かせると、8番・若月健矢にはカウント2-2から投じた143kmのフォークが真ん中へ甘く入ったところをセンター前へ運ばれる。完全試合に続いてノーヒットノーランも途切れ、さらに9番・太田椋には初球で送りバントを決められた。
この時点でロッテのリードはわずか1点。黒木知宏投手コーチが慌ただしくマウンドへ向かった一死二、三塁の大ピンチで、佐々木は大胆にも腹をくくっていた。
「(打球が)前に飛んだら点が入る確率が高かったので、三振を狙って取りにいきました」
言葉通りに、2-2から内角低目に鋭く落ちる146kmのフォークで茶野のバットに空を切らせた。メジャーで107本塁打の実績を持つ2番・ゴンザレスはわずか1球、真ん中高目への141kmのフォークでライトへのファウルフライに打ち取り、ガッツポーズを作りながらマウンドを降りてきた佐々木に、ベンチで見守っていた吉井理人監督も思わず目を細めた。
「(ギアが)変わったというか、ちょっと前半から飛ばしていたので、多分苦しかったと思うんですけど、あそこで本当によく頑張ってくれましたよね」
吉井監督が、投手コーチを務めたWBCの1次ラウンドで、エンゼルスの大谷翔平、パドレスのダルビッシュ有に続く先発を佐々木、そして山本が務めた。舞台を米マイアミに移したメキシコ代表との準決勝では、先発・佐々木から第2先発として控えていた山本へリレーさせた。