なぜ”パリ五輪ホープ”鈴木唯人は仏デビュー戦でスーパーゴールを決めることができたのか…“同僚”GK川島永嗣の存在を仏紙が指摘
デビュー戦でスーパーゴールを決めた、仏リーグアンのストラスブールに所属するU-22日本代表MF鈴木唯人(21)が脚光を浴びている。1月にJ2の清水エスパルスから期限付き移籍で加入した鈴木は、16日のアジャクシオ戦の後半30分から念願の初出場。終了直前の同44分には相手ゴール前で4人に囲まれた状況から巧みに抜け出し、左足で衝撃的な一撃を決めた。3-1の快勝に貢献したパリ五輪世代のエース候補を、地元メディアは「わずか15分で違いを生み出した」と称賛している。
「わずか15分で違いを生み出した」
挨拶代わりの一撃にしては、あまりにも衝撃的な光景だった。
待ち焦がれたリーグアンのデビュー戦でいきなりゴールを決め、ストラスブールの本拠地スタッド・ドゥ・ラ・メノへ駆けつけた2万5000人を超えるファンを驚かせた鈴木を、地元メディアの「レ・フィガロ」は「ようこそ、リーグアンへ」と熱烈に歓迎した。
「9試合を数えたリザーブをへて、ストラスブールの冬の新人、ユイト・スズキがリーグアンでデビューを飾った。しかも、この日本人選手はわずか15分で違いを生み出した。ストラスブールが3-1でアジャクシオに勝利するための総仕上げとなるゴールを決めた素晴らしいスタートは、マイナウ(ホームスタジアムの愛称)の記憶にずっと刻まれていくだろう」
ストラスブール入りが発表されてから5日後の2月1日。敵地でのレンヌ戦でいきなりベンチ入りを果たした鈴木だったが、デビューを果たせないまま、リザーブで試合を見届ける試合が「9」を数えた。どのような選手なのか。なぜ冬の移籍期間に獲得したのか。興味と疑問とが相まっていたからこそ、スポーツ紙の「レキップ」も驚きを込めて報じている。
「日本代表のホープが、ついにストラスブールのユニフォーム姿を披露した。わずか15分ほどしかプレーしていないにもかかわらず、彼ほど相手の陣地内でボールを触った選手はいない。彼は3回仕掛けたドリブルのすべてを成功させただけではなく、巧みなトラップとボールコントロール、細かいステップ、フェイント、そして左足によるシュートをわずかな時間のなかで組み合わせて、コルシカ島を本拠地とするチームのゴールネットを揺らしたのだ」
2-1とリードして迎えた後半44分に、衝撃的なゴールが生まれた。
ストラスブールが高い位置でボールを奪い返し、すかさず2トップの一角で途中出場していた鈴木へ縦パスを入れる。場所はペナルティーアークの右側。トラップした直後からアジャクシオの選手たちの標的にされ、最後は4人に囲まれても鈴木は慌てない。
軽快なステップで次々と相手をかわし、ゴール正面へと切り込んでいった次の瞬間だった。5人目の選手が間合いを詰めてきたなかで、利き足とは逆の左足を迷わずに一閃。グラウンダーの強烈な一撃が相手キーパーの脇を抜けてゴールネットを揺らした。