なぜ巨人に“魔の8回問題”が起きているのか…3四球の自滅で中日に逆転負け…8回失点は6試合連続
巨人が7日、バンテリンドームで行われた中日戦に1-2の逆転負けを喫して今季3度目の3連敗を喫した。“魔の8回“に繰り出した2投手が3つの四球を与える自滅で、石川昂弥(21)に勝ち越しの左犠飛を許して8回の失点は6試合連続となった。最下位の中日と借金5で並びゲーム差はなくなり、最下位転落危機に直面することになった。9日からは絶好調の首位の横浜DeNAと変則日程の2試合。”魔の8回”問題を克服しなければ浮上のきっかけはつかめない。
1本のヒットも打たれずに勝ち越し許す
“呪われた8回“にまたゲームが暗転した。
1-1で迎えた、その回に原監督は直江大輔をマウンドに送る。だが、先頭の石垣雅海に四球を与え、続く岡林勇希はバントの構えをしていたが1球もストライクが入らない。連続四球で一、二塁となると原監督は、自らマウンドに行き、顔面蒼白となっていた22歳の直江に何かを語りかけて笑顔で背中をポンと叩いて降板を告げ、左腕の大江竜聖に交代。
大江は、大島洋平をフルカウントから見送ればボールの外角スライダ―で三振に取り、右打者の好調の細川成也を迎えたところで、菊地大稀にスイッチした。 だが、菊池も、またフルカウントから四球を与える自滅パターンで一死満塁の大ピンチを背負って4番の石川昂を迎えた。
内野は併殺狙いの中間守備。菊地は、ボールワンからインハイに148キロのストレートを投じたが、ボールはシュート回転していた。
「浮いてきた球はすべて振ろうと思っていた」
犠飛を狙っていた石川昂には、絶好のボール。
レフトのオコエ瑠偉が定位置から2、3歩下がって捕球する飛距離十分の勝ち越しの犠牲フライを許してしまった。
巨人は高橋宏斗を打ちあぐんでいたが、7回に大城卓三の一発で先に均衡を破った。その裏、力投を続けていた赤星優志が、木下拓哉に同点のタイムリー二塁打を浴びて振り出しに戻され”魔の8回”に1本のヒットも許さないまま勝ち越されるという最悪の負けパターン。最終回は、前日に通算100セーブを記録した竜の“守護神“マルティネスの前に三者凡退に終わり、今季2度目の同一カード3連敗を喫した。
スポーツ各紙の報道によると原監督は、「非常に若い投手たちだけれど。糧として栄養に変えていかないとね。我々も育てていくということ」と敗戦を受けとめ、22歳の直江、23歳の菊地の若い2人を責めなかったという。
だが、これで8回の失点は6試合連続となった。チーム防御率も12球団ワーストの4.26だが、8回の防御率にいたっては6.39である。クローザーの大勢につなぐまでのセットアッパー不在問題がチームの大きなウイークポイントとなっている。
前戦までの5試合の“魔の8回”を振り返ると、こうだ。
【5月6日・中日戦】 三上朋也 打者5人1安打1四球1失点
【5月5日・中日戦】 田中千晴 6人4安打(1本塁打)1四球5失点 代木大和 4人1安打(1本塁打)1四球1失点
【5月4日・ヤクルト戦】 田中千晴 4人1安打1失点
【5月3日・ヤクルト戦】 大江竜聖 6人2安打2四球1失点
【5月2日・ヤクルト戦】 田中千晴 5人2安打(1本塁打)2失点
7試合連続で無失点を続けて“8回の男”として浮上していたドラフト3位の田中千が、3試合連続で救援に失敗して2軍落ち、代わって横浜DeNAを戦力外になり、育成契約で入団した三上を上げたが、最初の登板でしくじった。しかも、6試合中、4試合が四球絡みである。