鷹ファン騒然!中日橋本のクリーンナップへの3者連続死球でも乱闘に発展しなかった理由とは?
中日が交流戦の開幕となる30日、敵地でのソフトバンク戦で5-13の大敗を喫した。3点差に詰め寄った4回には、4年目の中継ぎ左腕の橋本侑樹(25)がクリーンナップの3人にプロ野球タイ記録となる三者連続死球を与えるなどして、この回に3点を失ったことが致命傷となった(橋本の失点、自責は2)。本来なら乱闘になってもおかしくなかったが、制球ミスが明らかだったため不穏な空気も流れなかった。今日31日にも自力Vが消滅する可能性のある中日の現在地を示すような“寂しい”現象だった。
近藤、柳田、栗原にぶつけ一死も取れずマウンドで呆然
PayPayドームが騒然となった。
4回だ。一死二塁で左打者が並ぶところで先発の福谷に代わってマウンドに送られた左腕の橋本が、とんでもないワーストタイ記録を作ってしまった。
中村晃に四球を与え、牧原にタイムリーを許し、なお一死一、二塁で近藤への初球がスッポ抜けた。体を反転して避けた近藤の右肘のプロテクター付近に当たって大事には至らなかったが、近藤は一瞬むっとした表情で橋本を睨んでから一塁へ歩く。
一死満塁。
続く4番の柳田にはカウント0-2と追い込んでから、3球目のスライダ―がまた抜けて体に当たりかけた。そしてカウント2-2からの6球目が、ユニホームのお腹あたりをかする。踏み込んで打ちにいっていた柳田は「ウワ―」と大声を出して、ヘルメットを飛ばして、その場に座り込んだ。
捕手の木下は、外角低めに構えていたが、逆球となった変化球がまたスッポ抜けたのだ。押し出しの1点が追加され、一塁ベース上で柳田は怒るどころか苦笑いしていた。
さらに5番の栗原には、まったく制球が定まらずボール3となってから、4球目のストレートが、またインコースへ抜けた。栗原は必死に避けたが、右の脇腹を直撃。しばらく、その場を動けなかった。3者連続の死球で、また押し出しとなり、場内に怒声が飛び交いザワザワした。だが、ソフトバンクベンチに不穏な空気は流れなかった。
ベンチを飛びだすコーチも選手もいない。
スポーツ各紙の報道によると、試合後に、ソフトバンクの藤本監督は、「当てにきて、当てているわけじゃないから。抜けた球ばっかり。2人はかすっただけで、そんなに心配はない」と一死も取れずに降板を告げられた橋本の制球難に理解を示していた。
主軸3人が続けてぶつけられたら乱闘になってもおかしくなかったが、満塁というシチュエーションに8-2と広がった点差を考えると、ソフトバンクで誰一人として「故意に狙った」と怒るコーチも選手もいなかったのである。
橋本は青冷めたようにマウンドで呆然。交代を告げられ、ベンチで福谷に背中を叩かれ励まされたが、その声に反応することもできなかった。
スポーツ各紙の報道によると、中日の立浪監督も、「競った展開でもないのに、ああいうことになると相手にも迷惑がかかってしまう」とコメントしたという。
橋本は、ここまで10試合連続で無失点を続けていた。2イニングでも任せることのできる貴重な中継ぎ左腕だったが、この日は、ボールを制御できなかった。
現役時代にタイトルを獲得したことのあるプロ野球OBは、こう分析した。
「もともと重心が高く、球離れの早いピッチャーなので制球に問題はあったが、この日はあまりに悪すぎた。交流戦という舞台での緊張と、近藤にぶつけて、もうぶつけられないというプレッシャーが重なってしまったのか。セットになってボールを長く持てないので小手先でコントロールして抜けるボールがさらに増えた」
3者連続の与死球は、過去に2例しかなく、1979年5月12日の日ハム戦でのロッテの望月、2014年7月4日の巨人戦での中日の田島以来、3人目のワーストタイ記録となった。