なぜ阪神の3つの“不敗神話”が一気に崩れたのか…北の大地で起きた誤算とミス
阪神が10日、敵地のエスコンフィールドで行われた交流戦の日ハム戦に3-4で敗れ、今季初の3連敗を喫した。先発の大竹耕太郎(27)は7回3分の0を投げて2被弾を含む7安打4失点で今季初黒星。今季無敗だった土曜日にも勝てなかった。なぜ岡田阪神の“不敗神話”が一気に崩れてしまったのか。
新球場のマウンドが合わず順応に時間のかかった大竹
北の大地にメジャーからの逆輸入ルーキーである加藤の絶叫が響く。
「We did it!(やりました!)」
お立ち台に指名された元中日のマルティネス、元オリックスの伏見が続けた「やりました!」の第一声を英語で引き継いだもの。
加藤は3-3で迎えた8回無死一、二塁からセンターへ試合を決める勝ち越しのタイムリーを放っていた。
その頃、もう阪神のメンバーはバスへと向かっていた。
何もできなかった最悪のゲームだったわけではない。だが、いくつかの誤算とミスがあった。ひとつめの誤算は、大竹の立ち上がりだろう。
抜群のコントロールを誇る大竹が、いきなり先頭の江越を歩かせた。ここまで8試合中5試合が無四球で、驚異的な与四球率0.71を誇っていた大竹にしては異例の事態だった。スポーツ各紙の報道によると、岡田監督は「マウンドが合わんかったんか。高めばっかりいっとった」と指摘していたようだが、明らかに軸足への体重の残り方と体の沈みこみが、無傷の6連勝の大竹とは違っていた。
新球場エスコンフィールドのマウンドの傾斜と粘土が合わなかったのだ。ボールが浮き、特にチェンジアップの制球に苦しむ。続くマルティネスに対しても簡単に追い込んでからのチェンジアップがハッキリとしたボール球となり、コースが真ん中に入ったストレートをレフト線に運ばれ、先制のタイムリー二塁打となった。
2回には伏見、3回には、またマルティネスにソロ被弾。これも甘く入ったチェンジアップとスライダーの失投だった。マルティネスのライトへの打球は、審判が一度は二塁打と判定したが、審判団自らがリプレー検証をしてホームランと認定された。3回で3失点。ただ大竹は、これ以上崩れることなく慣れないマウンドに合わせてフォームとピッチングを修正、順応した。5、6、7回とパーフェクト。この時点で、球数はギリギリ100球に到達していなかった。
そして8回の続投が裏目に出ることになる。
岡田監督の考えていた継投策を狂わせたのが、一つのプレー。5回に万波が見せたレーザービームだった。